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りばーすわーるど!  作者: 哀愁みかんす
1000年に1人の美少女(仮)爆誕
2/8

#1 女神との邂逅  



 何やら視界が眩しい。

 ゆっくり(まぶた)を開けようとしたが開かない、というかもう開いている状態らしい。

 周りには白い世界、純白の神殿、そして、それらを何故か俯瞰(ふかん)して見ている自分がいる。

 

 「ここはいったい……」


 お、声は出せる。と思って喉に手を伸ばすが、腕は存在せず、首の存在も確認できない。

 しかし、腕がそこにある”感覚”だけはある。他の部分もそうだ。

 

 「覚醒しましたか」


 初めて味わう感覚に困惑していると、どこからかすんごい美声が聞こえてきた。

 辺りを見回すと、すぐ目の前に緑と白を基調としたドレスをまとった女性がいた。そしてものすごく美人だった。

  

 「私、女神フルネスというものです。時間がないので、手短に説明させていただきますが、あなたは死にました。それも、かわいそうなくらい間抜けに」


 唐突すぎて話が入ってこないが、とりあえず俺を敬う気がないのは分かった。

 

 「砂糖と塩間違えて黒魔術に失敗するとか、もう面白くて面白くて」


 「うぉぉい!もういいだろ!」


 砂糖と塩間違えるて死ぬなんて……

 今更、死んだ時の記憶が蘇ってきた。


 「というか、黒魔術って本当に存在するんですか?」


 「時間もないので話を続けますね。あと黒魔術嫌いなので話したくありません」


 一応丁寧に聞いたのに……


 「それでは話の続きを。くだらないことで死んでしまった貴方には、この先どうするかを二つの選択肢の中から選んでもらいます。一つは、貴方の魂の情報を全て洗い流し、習わし通り魂の円環に戻すことです。

そしてもう一つは、魂の情報を保ったまま、条件付きで第二の人生を満喫することです。こちらがオススメです!」


 女神様の第二の人生という一言で、自分の夢をはっきりと思い出した。

 今の俺の頭の中は、二つ目の選択肢一択でしょ!という考えでいっぱい、だが……


 「その、条件ってなんですか?あと何でオススメ?」


 「聞きますか?」


 そりゃ聞くだろ、という言葉を飲み込む。


 「条件というのは、あちらの世界で目覚めたら”ある任務”を遂行してもらうというものです。オススメなのは、その任務がそれほど困難ではないからです」


 「その任務の内容は?」


 「聞きます?」


 「そりゃ聞くだろ!」


 いらねぇだろこのやりとり。


 「任務というのは——と、その前に貴方が転生する世界について話をしましょう。その世界というのは、私と、あともう一人の女神ケイオスが管理する、貴方が元居た世界と似たような世界です。しかし、その二つの世界には大きな違いがあります」


 「その違いとは?」


 「言葉を挟まないでください」


 ちゃんと怒られた。さっきのノリはもう終わりらしい。


 「その違いとは、ズバリ”魔力の有無”です。 他にも多少の違いはありますが、ほとんどがこの魔力の有無によって生まれる違いです。この世界では多かれ少なかれ、全ての生命体が魔力を秘めています。そして、この魔力というものが今回の任務に大きく関わってきます」


 ふむふむ、雲行きが怪しくなってきたぞ。


 「簡単に言うと、任務の内容というのは地上の視察と治安維持です。というのも、私達には、命を落としてしまった生命体から魔力を回収し、新たに生まれてくる生命体に魔力を振り分けるという仕事があるのですが、実は現在、先ほど話に出したもう一人の女神、ケイオスが魔力を振り分けずに、溜め続けているのです」


 「それの何が問題なの?」


 つい口を挟んでしまったが、今回はお咎めなしだった。


 「私達が管理する世界では、存在できる魔力の”潜在量”というのが決まっているのですよ。まぁ、ゲームで言うコストみたいなものです。そのコストを回収、そしてバランスよく振り分ける必要があるのですが、ケイオスはそれを少量しか振り分けず、今もなお溜め込んでいるのです。これは世界のバランスを崩す行為であり、溜め込んだ魔力を全てある生命体に注ぎ込んだりしたら、世界はそのモノによって崩壊させられてしまうかもしれません」


 「それって、あなたじゃどうしようもできないんですか?」


 「はい。魔力を振り分ける仕事はかなり大変な仕事なので、百年毎に交代で行っているのですが、今回の百年は私ではありません。故に地上の状況確認と対策が必要なのです。いかがですか?」


 う〜ん……それなりに大変そうだけど、美少女になれるかもしれないチャンスだからな〜。


 「一つ、聞いていい?」


 「どうぞ」


 「俺の転生先の情報って分かる?ほら、どこに何として生まれるのか、とか」


 「転生先ですか!?えーっと、貴方の転生先は…」


 これで全てが決まる。俺のこれからの全ての運を使ってもいい。頼む!絶世の美少女であってくれ!


 「分かりました。貴方の転生先は、日本の東京都に住む、円満な夫婦の間に生まれるーーあら?何かオプションが付いてますね。オプションは、絶世の——」


 「絶世の?」


まさか、本当に叶うのか!?


 「美少——」


 「美少?」


 「——年。絶世の美少年ですね。良かったじゃないですか」


 「ちっがぁぁぁう!!!」


 俺は思わず叫んだ。女神様びっくりしてる、かわいい。って違う、何で一番重要な部分が変わってないんだよ!


 「あの、転生先変えたりって……」


 「できませんね」


 終わった……グッバイ、マイドリームライフ。

 分かりやすく失望した俺に女神様は声をかけてくれる。


 「そ、そんなに落ち込まないでください。ほ、ほら、任務を楽に進められるよう、お好きな魔刻印を選んでもいいですから!」


 そう言って、女神様は何やら文字が書かれたカードを宙に広げる。


 「魔刻印とは、魔力を消費することで行使できる、特殊な能力ですよ!興味湧きませんか?」


 「別に……」


 というか、いつから転生するのを決めたことになってるんだ?

 転生するのやめようかな〜とか考えながらカードを見ていると、ある一枚のカードが目に止まる。

 そして、革新的なアイディアが突如として脳内に浮かんだ。


 「これ、この能力が欲しいです!」


 「欲しい魔刻印が見つかりましたか?じゃあ、そのカード持ったまま、そこの神殿にある、台に乗ってください」


 「は〜い!」


 ふふふ、この能力がうまく作用すれば、俺の夢が叶う!

 俺は喜々として台に跳び乗る。


 「嬉しそうですねぇ〜。ちなみに、ちゃんと働かないと魔刻印没収しちゃうのでちゃんと働いてくださいね」


 「え」


 「当たり前ですよ〜。それではいってらっしゃーい!!」


 なんか儀式が始まり、また意識が薄くなっていく。

 来世、というかもう今世かもしれないが、今世でも俺は働かなくてはいけないらしい。

 しかし、夢がやっと叶うんだ。今は期待しかない。

 あと、最後なんで女神様あんなに機嫌良かったんだろう。





 


 

 女神フルネスは転生者の魂を地上に送り届けたのを確認して肩を下ろす。


 「はぁ、一時はどうなるかと思いましたが、やはりあの人を選んで正解だったようですね。簡単に死なないように精々頑張ってください」


 そう言って、女神フルネスは神殿をあとにした。


これからも不定期で投稿させていただきますが、できるだけ投稿頻度が高くなるよう頑張ります。

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