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第十六話 事件

…俺は今、昔通っていた高校の校門の目の前に立っている。今から、その理由を説明しよう…


〜約20分前〜

…武器を作ってから約10時間後。俺は無事に目が覚めた。…久しぶりに普通の人並みに寝た気がする。まぁ、気絶のことを睡眠と言えるならだが。


俺が作った剣は…すぐそこに置かれてるな。早速検証を…とも思ったが、ただ検証するだけも暇だし、テレビを聞きながら検証するか。


番組は……お、ちょうど俺が好きな番組やってるじゃん。これ聞きながらやろうっと。


さてさて、能力はどんな感じかな〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:無名(変更可)

作者:月城柊羽

説明:人の手によって作られた直刀。スキルの『付与』があれば、特殊能力を追加できる。

効果:ATK+5、AGI+3、再生(極小)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…一応、攻撃力は俺が今持ってるランデルの籠手と同じくらいか?ほかは…そんなにいらないかな?ランデルの籠手さえあれば十分だな。再生も、極小だったら効果は薄いし…


…まぁ、最初の鍛冶だしな。これで十分だろ。あとは、これに関する情報を少しだけメモっておくか。後々使うかもしれないしな。


…そだ。鬼人のことをメモっていなかった。まだわかってないことも多いし、今まで生活してきてわかったことを書いておくか。


えーっと、あとメモっていないことはあったかな…?


「…番組の途中ですが、ここで速報があります」


…ん?速報?地震かな?特に大きな揺れは感じなかったけど…


「埼玉県にある、稲瀧(いなたき)高等学校のすぐ近くに、ダンジョンが発生し…」


稲瀧高校か…俺が一年前ぐらいまで通ってた高校だな。まぁ、出現くらいなら害はないし、そんな気にしなくても…


「そのダンジョンからモンスターが溢れているとの通報が警察に届きました」


………は?


「ダンジョンから溢れ出しているモンスターは、スライムなどの低級のモンスターから、これまで姿を確認されていない、謎のモンスターが多数出現しており、近隣の住民が多くの被害を受けているようです」


………………


「現在は、校舎内に立てこもっている生徒や教師の救出のために、通報を受けた警察の人員や、近くに住んでいた探索者の方々が対応していますが、死傷者が増えてきており、政府はこの街を諦めることも視野に入れているようです。これで速報を終わります」


…助けには、行かなくてもいいだろう。……速報とはいえ、情報にはラグがある。今更高校に行っても、遅いかもしれない。そもそも、俺が行っても、高校の人達を助けられないかもしれない。


…いや、これ以上俺の大切な人たちがいなくなっても良いのか?俺と両親が事故にあったとき、俺を庇わせてしまったばかりに、両親は死んでしまった。…今度は、俺が助けに行かなかったせいで、誰かが死ぬことになるかもしれない。


…それで良いのか?言い訳がない。幸い、俺は今、全員の記憶から消えている。俺が死んでも、悲しむやつは誰もいない。なら、俺が死んででも、高校の人達を守ることが、今俺にできる最善の選択ではないのか?


…決めた。高校の人たちを助けに行こう。ただ、顔がバレるのは嫌だし、なにか顔を隠すものは…


…あった。俺が、中学の修学旅行でふざけて買った狐のお面。これをつければ、顔がバレることもない。…ただ、いつも来ているパーカーで行くのもあれだな…まぁ良いか。フードも被っておこう。ズボンは…動きやすいものでいいか。


それじゃあ、この上に籠手と脚甲をつけて…刀も、一応持っていくか。邪魔になったら外せばいいや。


さぁ、高校の人たちを助けに行くとしようじゃないか。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


…と。こんな感じで、俺は高校の前に来ることになった。テレビでも言われていたとおり、この近辺には、外に出てきたモンスターが多くいた。


下はスライムから、俺が最近までレベル上げに利用していたオーガまで。ここに来るまでに、計30匹は倒したような気がする。


そしてもちろん、高校の中には、それ以上のモンスターが居る。オーガよりも少し大柄になった、ハイオーガに、俺のトラウマでもあるカラス。更には、俺がまだ見たことのない、羽を持った人型のモンスターに、馬の下半身に人の上半身を持ったモンスター…


………その近辺には、おそらく、戦って敗れたのであろう、人たちの死体が転がっていた。首を切られたものや、体をずたずたに切り裂かれたもの、粉々に砕かれたもの…


…これは、一筋縄では行かなそうだ。


というか、なんでこのモンスター共は高校の中に入っていないんだ?これほど強力なモンスターが居るのなら、高校の中に討ち入って、虐殺すればそれで済むだろうに…


まぁ、俺にとっては好都合だ。進化してから初めての、まともな戦闘だ。気張っていくとするか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

氷華視点


…私達は、外の光景を見て、絶望していた。


「何なんだよ!!あの化け物共は!」


…あまりの理不尽さに、逆ギレして、大声を出す人。


「…もう、終わりだ…俺たちは、ここで死ぬことになるんだ…」


…諦めて、弱音を吐く人。


「皆さん!落ち着いてください!すぐに救助が来ます!それまで、静かに待機していてください!」


…慌てふためいている生徒をなだめようと、大声を出して安心させようとする先生。


…私も、例外ではない。落ち着いているようにも見えるが、絶望しすぎて、諦めているだけだ。こんなことなら、正直に気持ちを言っておけば……あれ?誰に言おうとしてたんだっけ?


…まぁ、良いか。そう思いつつも、ちらりと外を見てみると、外にいるモンスターたちが、わたしたちのいる校舎に攻めてこようと、進撃を開始したところだった。


…まさか、お父さんとお母さんよりも早く死んじゃうなんて…ふたりとも、ごめんね…


「おい、なんか、モンスターが一体ずつ倒れ始めたぞ!?」


…え?


「助かった!救助が来たんだ!!」


…嘘。警察は、さっき来て、全滅させられたはず…まさか、もう一回来たの…?


「人数は…一人!?」


…どういうこと?警察が単体で乗り込むなんて、ありえない。ということは、民間の人…?そんなの、まだ発足していないはず…


「皆さん!立たないで!救助の方がモンスターを倒し終わるまで、隠れていてください!!」


…私は、座ったまま、外を見る。校庭では、たくさんいたモンスターが、今や半分ほどに減っていた。


世界一の探索者……一瞬、そんな言葉が思い浮かぶ。だが、その人はアメリカにいるはず。世界一の探索者といえど、アメリカからここまで、20分で来れるなどありえない。


となると、日本にいて、この近辺に住んでいる、有名な探索者…そんなの、聞いたことはない。


…目を凝らして、モンスターを倒している人の風貌を確認する。…狐の仮面に、パーカーのフードを被り、動きやすそうなズボンと靴を履き、その上に籠手と脚甲をつけている。…少し、不思議な風貌だ。


…そうして、いくらかが経過した頃、モンスターはすべて殲滅され…狐の仮面を被った人は、消えていた。


…それにしても、あの人…少し前にスーパーであった人のように、どこか出会ったような気がする。…気のせいかな…?

楽しんでいただけたでしょうか。誤字脱字があった場合は、指摘をお願いいたします。極力ないようにしていますが、自分でも気づかない間違いがあったりしますので。

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