プロローグ
どうも、投稿があほほど遅いくせに、新作を出した、神名剣斗と言います。今回は、ローファンを描いてみました。書いてて結構楽しく、苦痛もほぼなかったので、しばらくは比較的短い期間で投稿できると思います。では、楽しんでくれると幸いです。
…ある日、全世界から、俺に関する記憶が消えた。まるで、もとから俺がこの世界にいなかったかのように、誰も俺のことを覚えていなかった。
その事に気づいたのは、いつもどおり学校に登校し、校門前で親友である燈矢に挨拶をしたときだ。
「えーっと、お前誰?」
そう返事を返され、俺はものすごく焦った。なにかの冗談なんじゃないかと思ったが、こいつはそんなつまらない冗談をつくような人間じゃない。
とっさに見間違えたとごまかして、急いで校内に入り、窓から出て、柵を飛び越え、そのまま家に帰った。幸い、学校に来るのが遅すぎて、ほとんど誰もいなかったので何もいわれなかったが、俺が気になったのはそこではなく、下駄箱に俺の場所がな|いことだった。
逃げるように帰宅した俺は、俺に関する記憶が消えているのかどうか、実験をしてみることにした。隣に住んでいる幼馴染の家族に、隣に引っ越してきたので、挨拶に来たと言いつつお菓子を渡すのだ。これなら、ただの冗談だともごまかせるし、もしも忘れられているのなら、お礼を言われるだけですむ。
結果は…成功(成功と言えるのかはわからないが)だった。お礼を言われ、俺はそのまま帰ってきた。
俺に関する記憶を全て失っていたのだ。全ての交友関係がリセットされ、たとえ高校に行ったとしてもただの不審者扱い。そんな世界で、交友関係を戻そうとする勇気もなく、それから、俺のの引きこもり生活が始まった。
…3日目になった。外出するのは、大切な用事がある時だけと決めた。食事もできる限り削り、趣味だったゲームに没頭し初めた。
…1ヶ月目。投資の勉強を始めた。両親の遺産と保険料で2000万ぐらいは残っているが、今後もそれで生活するとなると厳しい。早いうちからこういうことを勉強するのも悪くないだろう。
…3ヶ月目。投資が大成功し、お金が数倍に膨れ上がった。これだけあれば、しばらくは困らないだろう。それにしても、少し太ってきたな…室内でできる運動でも始めるか。
…4ヶ月目。室内でできる運動として、武術やキックボクシングを始めた。家の空いている部屋に設備を整え、動画を見ながら、サンドバッグを殴ったり、木刀を振ったりして、一通りやった後は、またゲームをする。これを繰り返し始めた。
…8ヶ月目。段々と剣や拳を振る速度が早くなり、威力も上がってきた。筋肉も付き始め、いつの間にか腹筋も少し割れていた。…今更なんの意味もないがな。
…1年目。引きこもり1年目を記念して、床屋に行くことにした。髪が長すぎて、前も見えないくらいだしな。これではゲームをするのに支障が出る。だが、Tシャツで駅前に行くのはためらいがあるし、ましてや今は冬だ、それなりに厚着をしないといけないだろう。
そう考え、俺はくろぜーとを開け、マフラーやコートなどを取ろうとする。
…だが、そこには、並べられた服ではなく、真っ黒な空間があった。
楽しんでいただけたでしょうか。誤字脱字があった場合は、指摘をお願いいたします。極力ないようにしていますが、自分でも気づかない間違いがあったりしますので。