二人旅
「おじさん!この電車に乗ろう?」
「あー…そうだな」
俺は名前は佐藤太郎。
10年前活躍した「日本の十怪」の一人だったが、大分にある小さな集落で隠居生活を楽しんでいた。しかし戦闘機を撃退した事によって居場所を変えないといけなくなった。それはこれまでもあった事なのだが…。
俺は自らの横でぴょんぴょんと跳ねる少女に目をやる。
俺の不注意で歳13の少女、優美にライフルを撃っているところを見られてしまう。
あげくには
「私も連れてって!連れてかないとおじさんの事みんなにバラしちゃうよ!」
と言われるしまつ。
丸山さんに頼まれたとは言え、小さな子の扱いなんて分からない。
「なーに?おじさん!」
ずっと見すぎていたようだ。優美が視線に気づいてそう聞いてきた。
まぁ、懐いてはいるか…。
「いや、なんでもない。電車は何処行きなんだ?」
「今から乗るのは宮崎行きの電車!もーさっき言ったでしょ?」
「あぁ…悪い悪い」
宮崎か。大分の南に位置する九州国最多を誇る天魔神宮を持つ土地だったな。
その更に南には戦地の玄関と言われる鹿児島がある。確か鹿児島には「鬼」がいたはずだ。
十血が一人「日本の鬼」
戦地を荒らすバーサーカー。
彼の戦いはまさに荒らし。
刀も銃も地形も味方も使い、狂ったように戦いに興ずる。敵からも味方からも嫌われていたっけ。
「まぁ、あいつには顔は割れてないし」
「行くか!宮崎!」
「うん!」
こうして、俺と優美の長い長い旅は始まったのだ。