夜に咲く
抱きとめられて 囁かれる甘い声
変わらない日常
認められない日々
そこに居ることが当たり前で
そこに居なくてもどうでもいいと
まるで路傍の石のように
触れられて 感じる熱い吐息
修めたはずの知識
納めたはずの値打ち
それがあることが当たり前で
それがなくてもどうでもいいと
まるで路傍の石のように
転がり落ちてく その指先に
綺麗に磨かれた玉石
散りばめられた砂の粒
流れて落ちてく その指先を
濡れそぼって光る唇
白磁の肌に浮いた粒
開かれた口は血に濡れて
抜け出せなくて 絡められる細い指
積み重なる雑務
終わらない業務
そこに居ることが当たり前で
終わりさえすればどうでもいいと
功の背後の骨のように
刺し貫かれる 身体と心
積み上げた砂上
見た目だけの楼閣
それがあるはずが当たり前と
失くし気付いてもどうでもいいと
賢しく振る舞い損ねたとして
転がり堕ちてく 杖を手にしても
綺羅星のような砂の粒
足元に開く朱い穴
流れて堕ちてく 杖を身に受けて
血に濡れ固まる砂の粒
白磁の肌に刻んだ痛み
開いた身体は罪に濡れて
砂場に潜んだ狩人は
転がり墜ちたイシに喰われる
朱は闇より出で闇よりもなお昏く
闇夜の月に照らされて
弾けるように咲く赤い花