吸い込む息。 吐く息。
吸い込む息。
吐く息。
明け方に吸い込む空気は、澄んでいる。
そして咽喉が気持ちよくなるくらい冷たいのだ。
夜明けが近くなり、多くの星々が青白い闇へと消える。
小さいころ、大空を見上げて息をすいこめば、星々が吸い込めるのではないかと思った日。
息を吐いた中には、星は一つもありはしなかったけど。
吸い込む息。
吐く息。
私の想う世界は、あの日よりかなり小さくなった。
その分、体は大きくなったけれども。
……でも、大切な小さなもの。
私の生きた証。
それを壊さないように、私はゆっくりと息を吸い込み。
穏やかに息を吐いた。