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その8
次の日も、その次の日も動きを感じナイフを投げ続けた。さらに精度を上げ狙った場所に投げれるようにもなった。昔棟梁が「慣れれば狙った場所に投げられるようになる」と言っていたがそれにだいぶ近づいてきたのではないかと思う。
ある日いつもと同じように竹林で練習していたところ家に続く道に感じたことの無い人の気配を感じた。うちの者では無い誰かの気を。私はその人の気に気を取られていた。私が投げたナイフは人形ではなく、その人めがけて一直線に飛んで行った。
「やばっ。」
私のナイフはその後音を立てない。私は一瞬にして不安でいっぱいになる。やらかした。絶対やらかした。そう思っていた矢先だった。自分のナイフの音がする。私めがけて飛んできたのだ。私は避けるのが精一杯だった。その見知らぬ人は家に入るのと同時にこちらを見てニヤリと笑っていた。