その7
屋敷に着き自室で考える。確かに今まで感じるために目を瞑ってきた。だが正確な攻撃はやはり相手を見なくてはいけない。「みんな大変な事やってるんだな。」改めて実感する。沢山考えているうちに私は寝落ちしてしまったようだ。
翌朝。今日はよく晴れた日だ。天気はいいが地面は最悪だ。あれは7歳の頃。修行にも慣れてきて気が緩み始めた雨上がりの日。いつものように山道を走っていた。だが、ほんの少しの泥に捕まり全身泥だらけになったことを鮮明に覚えている。二度と泥だらけはごめんだ。
結局、昨日の思案はまとまらずまた1人でナイフ術に専念した。慣れてきたはずのナイフがずっしりと重い。私はナイフを見つめる。ナイフは不吉なほど輝いていた。私は何も考えずナイフを真上に投げてみた。ナイフはキラキラと輝きながら頭上を舞い鈍い音を立てて私をめがけ一直線に落ちてきた。私は顔を傾け少し避け、ナイフの持ち手を掴んだ。「今なら行ける気がする。」根拠も証拠も無い自信が湧いてきた。竹林の中の練習用人形を動かす。今日は目は瞑らない。動きを見る。この人形はよく出来たもので一定の範囲内なら自由自在に動くことが出来る。当然先の動きも分からない。相手の動きを考える。いや、感じる。相手は人形だから思考も感情も無い。ただなんとなく分かる。次に動くであろう方向が!
ーシュッー
私は人形と反対方向に動きながらナイフを後ろに投げた。その後ナイフの音はしない。人形を止め後ろを見る。私が投げたナイフは見事に人形を射抜いていた。