意外な物が
視線を川の方へ向ける、護衛の人達が半円に陣を構え警戒体制を作っている、あちゃ〜しまった!
「ゴウキさん、私が原因です」
「???」
「血抜きを魔法で早めました、光はその影響です」
「左様でござりまするか」
「休憩中にご迷惑おかけしてすみません」
頭を下げ素直に謝罪する
「!!神様、どうかお顔を上げて下さい」
「次からは念話を送りますからよろしくお願いします」
(アル、頼むぞ)
(了解しました)
「念話とはどのようなモノにござりまするか」
(聴こえますか?)
「!」
目に見えて良く分かる反応、念話が聞こえたようだ
(頭に直接語りかけてくるのでござったか)
(そうです。念話中は頭で思った事がそのまま相手に伝わります)
(なんと、そのような術初めてお聴きしたでござるよ)
(その口調が普段なんですね)
しまったと表情が陰る、そんなん気にしなくていつもの言葉使いでいんだけどな
(私もあなた方と同じ人間です。普段のまま接して頂けませんか)
(畏れ多くてなりません)
(そうですか、お願い出来ればと思いましたが)
(…畏まりました。大雑把な性格故言葉使いがぞんざいになりまするが許して下され)
少しは打ち解けたかもしれないな、いつまでも神様、神様と崇められても後で違う事が分かったときの落胆は計り知れない、今の内から誤解は解いておかないとな
(報告、神力が上昇しました)
(何故に?)
(どうか致したでござるか)
(ゴウキ様の信仰心が神力として還元されました)
(なんと!左様でござるか、嬉しい限りでござる)
(報告、神力が上昇しました)
(なんと!少しでも神様のお役に立てるのでござれば某も感無量でござる)
(報告、神力が上昇しました)
・・・・
・・・
その後も繰り返される連鎖反応
なんだこのやり取り
打ち解けたと思ったのになんでこうなる、額に手を当て少し俯きため息をつく
(アル、神力上昇の報告は不要だ)
(了解しました。)
町を出る時もそうだったけどこの世界の人達ってちょっとした事に何でも感嘆しすぎじゃないか?
「話が逸れてしまいましたが、次回よりコレで伝えますね」
「承知致した、血抜きも終わったとなれば、夕餉の支度を始めるでごさるよ」
「その事なんですが、お肉を少し分けて頂けないでしょうか」
「好きなだけ持っていって下され」
快諾を得られた。
「支援隊、リン様が血抜きを終わらせたもうた、引き上げよ」
「はっ!」
指示を受けた支援隊は直ぐ様作業に取り掛かる、紐に括られ沈んでいたレッドボアが川から引き上げられた、岸に置かれた肉の塊はキレイなピンク色をしている、これから切り分けを行うらしい、あの大きな包丁は牛刀包丁か?
それを器用に使い、手際よく捌いていく姿に魅せられる
「初めて見たけど凄い」
「某の自慢の支援隊でごさるよ」
(報告、解体作業もサポート可能です)
(いい、この解体作業は見ていたい)
(了解しました)
魔法で一瞬で終わらせるのが勿体ない、テレビで見たマグロの解体ショーはグロいと感じそこまで関心が持てなかったが、目の前の光景は一つ一つの工程が洗練されており瞬く間に各種部位に切り分けられる、その中に異世界ならではの意外な物が一つ
(丸いアレはなんだ)
(回答、魔石です)
そうか、魔石が有るから魔物だったか?
その後切り分け終わった後、骨は牙の部分のみ残され残りは森の中へ戻された、内臓は先に取り出されていたらしい
(かなりの量が有りそうだ)
(回答、肉量は約1.2トンです)
途轍もない量の肉だな、一晩で食べ切れないんじゃ?
「ゴウキさん、かなりの量ですが肉はどうするのです?」
「狩猟とは違いまする故、今晩と翌日分を残し自然に返すでござるよ」
「そうですか、勿体ないですね」
「然しながら止むを得ませぬ」
そうか、近代社会と違い冷蔵の技術もまだなさそうだし精肉関係は日保ちしないから仕方ないのか
(まだ一週間以上の長旅だし日保ちさせる方法が有ればな)
(回答、製作可能です)
当たり前のようにアルさんが情報を転送し頭に流し込んでくる、毎度の事ながら最早AIウォッチの域を超えている
(異空間収納だけでは駄目なのか?)
(回答、異空間収納は時間経過します。次元収納は時間固定です)
何か何だか、便利なスキルならどうでもいいか
(次元収納は取得できるか?)
(可能です。次元収納を取得しますか)
《はい・いいえ》
食材ストックが楽になるなら今後便利そうだし《はい》を選択、いつもの調子で神力が減少し新スキルを獲得した。
お読みいただきありがとうございます。
次回は晩ごはんBBQ本番行けたらと思います