材料調達
「作戦内容は以上です」
「中庭での事はこの策の為、確認でござったか!」
「その様でございますね」
頷く二人、いやぁ全くの偶然です。
むしろ先程の事が有ったから考え付いた作戦です、って言っても信用しなさそうだな
「そのような事が誠に可能でござりましょうか?」
「貴様!!神様のご発案であるぞ」
「疑う訳ではござらん、しかし錬成不可能な青凍鋼を扱えるとはどうにも信じ難く」
「サイジョウこれを見よ、守り刀として授かり受けた青凍刃だ」
激昂したゴウキさんが若い文官らしき人、サイジョウと呼ばれた男性に向かい脇に差していた鞘からカチャりと音をならせながら刀身が半分程覗かせる位コキュートスを引き抜いた、アポイタカラを使った刃に浮かぶ美しい刃紋が青き輝きを放ち揺らめいて見える
「この刀を見てもまだ戯れ言を申せるかサイジョウ、この作戦は必ず成功するでござる」
「ゴウキ!御前の前じゃぞ、止めんか馬鹿者」
叱責を飛ばす爺や、私に振り向き深々と頭を下げる、それに続いてゴウキさんとサイジョウさんも頭を下げた
まぁ、こんな話をしたところで最初から信用するはずないもんねぇ
「特に気にしていませんので頭を上げてください、サイジョウさんも国を思っての事です」
「無礼な発言、お詫び申し上げまする」
疑った事を謝罪し頭を上げる、表情は晴れてないが文官だしね、実際に作った方が信用するでしょ
「では、資源調達に向かいましょう。皆の者」
「「「はっ!」」」
サクヤさんの号令で一礼し動き出す家臣、作戦の概要通りに事が運ぶ事を祈ろう
「私達は一度さっきの部屋に戻ります。」
「畏まりました。用意ができ次第、使いを送ります」
サクヤさんを残し妻と共に会議の間を後にした。「カッコよかったわよ」と小声で話し掛けてくるがそんな場面有ったかなぁ、廊下を曲がり中庭を過ぎるとき、そう言えば塀を壊したままだったのを修復作業に取り掛かろうとしている人達を見て思い出した。
「アル、創造って壊れたものを直したりできるのかな?」
「回答、修復は不可能です。」
「そうか、無理か」
「どうしたの、あなた?」
「自分の造った物で壊した訳だし直せたらなぁって」
自分が原因で壊した物だし何とかできたら良かったんだかこればっかりは魔法も役に立たないらしい仕方ないかと思っていたら妻からの一言
「そぅ、AIウォッチの機能に自動録画あっわよね、似たものを作れないかしら?」
修復は不可能、なら似たものを創造するならどうか?情報はアルが持っているし
「アル、可能か」
「回答、可能です」
よし、修理しよう。と言っても残骸を材料に新しく創造するんだけどね。そう考えつつ中庭に入って行き作業に取り掛かろうとしていた人達の近くまで来た
「すみません、皆さん少し離れて下さい」
「あなた様は?」
「サクヤさんに呼ばれた客人みたいな者です。塀を建て直しますので少し離れて下さい」
「サクヤ様の客人?神様!」
あわてて飛び退く様に離れた人達が一斉に頭を垂れる、何度も見た光景にそれほど気にならなくなり始めた。
慣れって怖いな、そんなことよりまずは塀を見定め
「アル、録画通りに似せてくれ。創造・塀」
「製作を開始します。」
白い光が下半分の塀と崩れた残骸を包み込み、新しく元通りの塀を造り出した。
録画内容を正確に写しすぎて染みや傷跡なども再現されているのは如何なもんか
「一瞬で塀が元通りの姿に!これが神様の御業」
「「「ははぁっ!」」」
ものすごい勢いで敬われているけど、自分の後始末しただけだからね君たち
「報告、神力が上昇しました。」
まじでか…、自分で壊して自分で戻して自作自演っぽいのにそれで神力上昇とかズルくないか?恥ずかしい気持ちを隠すようにそそくさと中庭を後にして妻の元へ
「あなた社長みたいね、行く先々で頭を下げられてるわ」
「勘弁してくれ、普通に接して欲しいよ」
ふふふっと笑う妻と大袈裟に両手を広げ首をふる、部屋に戻ったら子供達のステータスを確認しないとな
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