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コキュートス誕生

一様に見守る中、思いもよらぬ光景が起きた


「壁が・・・」


巻藁の後ろの塀の端から端まで一筋の氷の線が付き、唖然と眺めている最中、重低音を響かせながら真っ二つに斬られた上部が崩れ落ちた、断面が光沢を放っている、鋭利な物で切り裂かれた事で凹凸の無い表面に薄く氷の幕が出来てるのが見えた、これには刀を振り抜いたゴウキさんも崩れた塀と刀を交互に見返している、状況を理解できてないとみえる


「「「「・・・」」」」


余りにも予想外の出来事に一様に言葉を失う、何が切れ味の確認だよ!どう考えてもおかしいだろと訴える目線が痛い、ようやく状況に頭が追い付いたゴウキさんが神妙な顔付きで刀を見つめてる


「先程の剣も業物でござったが、この刀は次元が違いまする」


「流石は(リン)様、神話で語られる一振りをお作りになられるとは」


「父ちゃん・・・」


羨望の眼差しを向ける二人と違う意味で感心する家族、一番びっくりしているのは作った自分だと思う、一番良く切れるであろう単分子の想像を刀として創造したらマンガよろしくの性能、魔力の込め方次第でどれ程の威力に変わるのかとても恐ろしくて考えたくもない、刀の取り扱いどうしよう、いっそ素材に還すか

頭の中で模索しているなか、無機質な音声が思考に割り込んできた


「アポイタカラの制御に成功、魔力操作による波状攻撃も良好」


「アルさんや、これは想定内なのか」


「肯定です。アポイタカラの特性を刀身、刃より前方に指向性を持たせることに成功しました。魔力操作により強弱を調整出来ます」


成る程、使いこなせるなら問題無いか、私はゴウキさんに振り向き


「差し上げます」


「「「えっ?」」」


大量に浮かんでいる疑問符、そりゃそうかいきなり上げると言ってもそうなるわな。みんな同じ表情で同じ疑問を口にする姿は面白い


「あなた?」


「この刀を使いこなすにはゴウキさんが適任だ」


こんなヤバい武器を間違って振った日にはスパッと何でも斬りそうじゃないか、魔力操作でコントロール?出来る自信が全くない


「畏れ多くて受け取れないでござるよ、姫様の言うとおり、人の身には過ぎたる一品、世界に二つとない神器ですぞ」


流石に二つ返事でとはいかないか、そりゃそうかあの破壊力を見せられたら私だって躊躇う、それでも、この刀はゴウキさんに持ってもらうべきと思う。平和を守るには時に武力を行使しなければならない。目に見えない条約など所詮空想と変わらない、軍隊を持たない現代日本にも抑止力という目的で武力は存在する


「ゴウキさん、守るべきを通すにも力が必要。無欲は美徳ですが力無き理想は愚者の所業」


「時に強欲でこそ、でごさりまするか」


頷く私、たとえ分不相応な力でも、二度と奪われない守る力は必要、ゴウキさんは信念を持っている人だと思う、勘だが間違った使い方はしないはず、目の前の武士は一考の後、瞳に意志が宿る


「受け取っていただけますか?」


再び問いかける。その答えは膝間つき頭を垂れ握っていた刀を両手で水平に差し出すように、私の前に刀が掲げられる


「願いますれば、銘を授けて頂きたく」


表情を見ることは出来ないが言葉の端々から受け取る覚悟を決めた真剣さが伝わる、私はそれに応えなければと考える、寒さ、氷、武器、思い浮かぶのは


青凍刃(コキュートス)


「はっ!コキュートス謹んで拝借したしまする」


柄部分が光り銘が日本語で刻まれた、初めて創造した武器は銘を授かり喜んでいるように見える、立ち上がり受け取ったコキュートスを脇に差すゴウキさんからの視線が熱い、正しく使ってくれるだろうと思う、それにこの国の救済が契約内容なら一度守ったら終わりって感じでも無さそうな気がする。

私達家族でどうにかなるとは思えない、仮に出来たとしてもシュトラー王国は私が居なくなれば再び戦争を起こすと思う、そうならない為にも今のうちから少しでも守る術を作った方がいい。この国を守るのはこの国の人でなければならないと思う。

と心の中で言い訳を考える、だって怖いだろ?平和な日本で育った平凡なサラリーマンに国難だの戦争だのを助けるなんて考えたこともない、基本は平和ボケよろしくの日本人だぜ私は


「報告、マスターの神力が上昇しました」


ああだ、こうだと屁理屈を考える思考に突如無機質な音声が割って入る、また聞きなれない単語、今度は神力ときましたか、どうやらAIウォッチ(アル)さんは何がなんでも私を神様に仕立てたいようだ

チート武器の誕生、近接戦闘武器からのロマン砲です

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