表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

兄と私の逃亡計画3

※クリストファー視点

今でも夢に見る。母上の最後の顔。隣で泣きじゃくるロゼ。そして……視界に広がる赤色。







僕とロゼは母上の【加護】のお陰で帝王に殺されない。でも殺されるより恐ろしい事は沢山ある。


僕とロゼは帝王にとって憎悪の対象ではあるが、同時に母上とそっくりである。特にロゼは…性別も同じだ。帝王が放っておくはずがない。


だから僕とロゼは5歳の時から成長が止まっている。


母上は僕達に自衛の力と知識、加護まで与え亡くなった。


「クリストファー、ロゼリア…」

母上は亡くなる直前、僕達にある事を伝えた。


「竜王国に…逃げな…さい。今はまだその力は…ないけれど、いつかここから…出て、貴方達のお父様にあって……欲しいの。

多分彼の心はボロボロ…だから、貴方達が癒して…あげて。そして私と居れない分、彼から…沢山愛情を貰いなさい。愛してる…貴方達に会えて…私は本当…に…幸せな時間を……」

そう言って母上は僕達を残して逝ってしまった。




僕達は逃げる計画を立てた。




でも帝王はそんな事を見逃すような事はしない。


僕達は気がついた時には沢山のローブを来た大人たちに囲まれていた。


「今からお前達は結界の要になってもらう」

そう帝王が言い、魔法陣が僕とロゼを囲んだ。


胸が苦しい。呼吸が浅い。


薄れる意識の中でロゼが泣き叫ぶ声を聞いた。







目が覚めるといつもの塔の部屋だ。隣にはロゼが寝ている。


「ロゼ、ロゼ!!」


「ん…んぅ……くりす?」

良かった生きてた…。もう家族を失いたくない。ロゼを抱きしめていると、自分が震えているのがわかる。


「クリス、顔真っ白だよ!?体調悪いの!?」

よく見るとロゼもいつもより顔色が悪い。



僕は気づいてしまった。

【竜眼】でロゼと僕の魔力の流がおかしい事を。



僕は見てしまった。

僕とロゼの魂に絡みつく鎖を。



僕は理解した。

あの男が【結界の要】と言った意味を。僕の魂を核に、ロゼの魂を縛って魔力供給源にしている事を。






僕達はこの塔に縛られてしまった。






僕は身体が弱くない物理的にここから出られない。

ロゼは魔力を吸い取る鎖に自由を制限されている。


僕達の逃亡計画は厳しいものになった。いや絶望的だ。








ある日、帝国は領土拡大のため他国に戦争を仕掛けた。ロゼは兵器として戦争に駆り出された。


僕は部屋を出ていくロゼの背中を見つめる事しか、ロゼの無事を祈ることしか出来ない。ロゼは竜人でもある。でもそれでも人間はどんな恐ろしい手段を使うか分からない。


ロゼが帰ってきたら沢山あまやかすようにしている

元々ロゼは母上にべったりで甘えん坊だった。母上が亡くなり僕達2人だけになった。この鎖のせいで僕は体が弱く、ロゼはいつも気を張って強くあろうとする。


だから僕がロゼを休ませてあげないと…。


ベットの上でも魔法が使えれば出来ることはある。

精霊術で精霊体を借りてあらゆる情報を集めた。



竜王国もエルフの国も僕達を見つけられていないが、秘密裏に探し続けていること。

帝王がロゼを狙っていること。

帝国の政治の腐敗により、民は傷つき貧しい生活を送っていること。

その為に周辺諸国に戦争を仕掛け領土拡大を目論んでいること。



そして僕は考えた。ロゼが大きな戦果をあげ、注目を浴びれば…竜王国とエルフの国が僕達を見つけられるのではと。



その作戦でロゼは帝国に多くの勝利と戦果をもたらした。そしてロゼの容姿や幼さもあって、世界中にロゼが知られた。

帝国はロゼに顔を隠させていたが、【竜眼】や感の鋭い者ならロゼが人ではない事が分かってしまう。


そして僕達は帝国と竜王国、エルフの国が戦争をするように仕向けた。


ロゼは今日も沢山人を殺した。


ロゼの顔には笑顔はない。


完璧な仮面を被り今日も戦場を駆け回る。


全ては自由のため。














そう……分かっていても……。

僕は今日もベットの上で逃亡計画のピースを集める。

一刻も早く、あの笑顔を取り戻すために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ