兄と私の逃亡計画1
「ねぇクリス。さっきなんであんな怒ってる時の顔してたの?」
ギャップで私を泣かせようとしてたのだろうか…。
「別に意地悪した訳じゃないよ。ただ無力な自分に腹が立っただけ…。ロゼは顔に出やすいからね。あんな顔みたら……。
ごめんね…ロゼを戦争なんかに行かせて、人を殺させて。僕はロゼが辛い時にベットの上で寝ているだk……」
腹が立ってクリスの顔を叩いてしまった。嘘、殴ってしまった。
「謝らないで!!うじうじしないで!塔から突き落とすよ!?
クリスは作戦を考えてくれてるし、魔法で城内のこと偵察したり、危ないことしてるじゃん!私は丈夫だから、バイオレンス担当なだけ!
クリスは私に何の罪悪感も持たなくていいの!そりゃ…人を殺すのは辛いけど…私は何を犠牲にしてでも、クリストファーと自由になるんだ!!」
怒りと悲しみで怒鳴ってしまった。でもこれはクリスが悪い。自分が無力なんて言って欲しくない。それに私も賛成した作戦だ。クリスが私に罪悪感を抱く必要なんてない。
「そっか…そうだね。なんか弱気になっちゃってたな僕。」
クリスは泣き笑いのような顔をして、シーツを掴んでいた。
「早くこの鎖を断ち切って、自由になろう。そしてお父様に会うんだ。」
「そうだね。そのためにも僕達は今を耐えないといけないんだ。」
クリスと私は自身の胸に手を当てた。この忌々しい鎖を断ち切るにはまだ役者は揃っていない。
今日も帝都は守られている
私とクリスの自由と力を貪って
腐った豚や弱者をいたぶるゲス共は
今日も醜い笑顔で楽しそうにしている