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095.剣を作るにいろんな注文

 ……そういえば、シーラはどうしてるんだろ。剣作ってもらうんだよなあ、と思って中を覗いてみる。思わず背伸びしてしまうのは、現在の身長のせいだ。くそうロリっ子ボディめ。


「あ、中どうぞ。もうすぐ注文終わりそうなんで」

「すみません。コータちゃん、入りましょう」

「は、はいっ」


 ドートンさんが気を使ってくれて、全員中に入れてくれた。意外に広いんだよな……と思ったけど、棚がたくさんあってその上にいろんな剣とか鞘とかが乗っている。あ、全部『サンプル品』って書いてあるな。

 工房の奥には椅子とテーブルがあって、シーラがそこに座っている。こっちに背中を向けてるので表情は分からないけれど、剣のサンプルの一つを持っている。


「シーラ殿。剣は決まったかの? 鞘や柄の飾りも、選んでおいてもらえると助かるでな」

「はい、剣の本体はこちらと同じものでお願いします。ただ、柄をサンプルよりもう少し……布三巻きほど太くしていただけると、使いやすいかと」


 彼女の向かいに戻ってきたガイザスさんに、シーラがそのサンプルを差し出す。よく見たら柄の部分、布が巻いてあるな。太さチェックしてたのかな。


「うむうむ。そうはっきり言うてくれると、こちらも作りがいがある」

「はっきり言わないと、使いたい剣を作ってもらえませんから」

「そうじゃろう、そうじゃろう」

「鞘はこのサンプル、柄はこのサンプルで……色指定はできますか」

「そっちに色見本があるじゃろ。それで指定しておくれ」

「分かりました」


 サンプルとか色見本とか、オーダーにしてはえらく手際良いな、と思って何となくドートンさんに目を向けた。「ん?」と一瞬首を傾げた後、状況を理解したっぽく説明してくれた。


「旅行者とかであまり時間が取れない人のために、本体だけ作ってあるものから選んで外装や装飾なんかを注文できる、セミオーダーがあるんです」

「あ、そりゃ便利だ」

「コータちゃん?」


 なるほどなあ。そりゃ確かに、デザインとかサイズとか一から作るよりよほど手間がかからない。武器をたくさん作る工房だから、そういうシステムがあるのな。

 で、俺の名前を呼んでびっくりしてるシーラに軽く手を振った。まあ、俺の周りにみんないるから、それでも驚いたんだろうなあ。


「ドートンさんに送ってきてもらいました」

「そ、そうでしたか……」


 一応説明すると、何かホッとした顔になって「ちょ、ちょっと待ってください」と慌ててサンプルとのにらめっこに戻った。色見本、って言ってたから、鞘や柄の色選んでるんだろうな。


「ゆっくり選んでください。シーラお姉ちゃんの剣なんだから」

「は、はいっ」


 ほんと、急いで選ぶもんじゃないからな。これから自分が使う大事な武器なんだしさ。

 色見本の数が減ってきた頃、ガイザスさんが手元のメモを見ながらこちら、というかシーラに尋ねた。


「細かい調整なども含めて七日ほどでできるが、滞在は大丈夫かね? 調整に何度か来てもらいたいんじゃが」

「あ、はい。大丈夫……だな?」

「ご安心を」


 シーラが確認をとったのはファルンに対して。彼女はゆったりと頷いてから、安心の理由を言葉にしてくれた。


「こちらの教会に話をつけてまいりましたわ。護衛に武器を作ってもらう僧侶が多いらしくて、そのための宿舎があるそうですの」

「なら安心じゃな。任せおけ」


 この世界は本当に、マール教万歳である。ドンガタの村のマール教教会に、僧侶のための宿舎までついてるわけか。

 ん、マール教附属の宿舎。カーライルとアムレク大丈夫か?


「ああ。もちろん殿方も泊まれますし、普通のお宿と変わりませんから」


 おう、それは良かった。

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