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086.山奥の村はにぎやかに

 ソードバルの街から北に、乗り合い牛車を乗り継ぎ乗り継ぎで十日。途中の街や村で泊まって飯食って風呂入って仲間吸って、やっとのことで山の中にある村にたどり着いた。

 ……村、というよりはほぼ街の様相を呈しているんだが、建物自体は木造の家が多い。普通サイズの家と、少し小さめの家が並んで建っているのはちょっとおもしろいな。あと、結構人多い。ソードバルとそんなに変わらないんじゃないか、この賑やかさは。


「ここが、ドンガタの村……」

「シーラお姉ちゃん、感動に打ち震えています」

「そんなに楽しみだったんですか……」


 キラキラ目を輝かせているシーラには、さすがに俺もファルンもちょっと引いている。いや、ここに来たいって言った本人なんだから当然といえば当然なんだけど。

 そう、ここはドンガタの村。あくまでも村と言い張るらしいこの地は、質のいい工具や武器の生産拠点である。

 で、普通の人間や獣人、鳥人も多いんだが、その間をたったか走っていく背の低い人たちがいる。今の俺くらいの身長だから、普通の人間の腰から高くても胸元まで届かないくらい。ただガタイはしっかりしてて、筋肉質なのが服の上から見ても分かる。

 今まで見なかったタイプだよなあ……ゲームとかに出てくる、ドワーフみたいな感じ。ちゃんと女性もいるけど、やっぱり筋肉質。というかパワフルおばちゃん系。つっても、こっちでドワーフって呼んでそうもないので聞いてみよう。


「カーライルお兄ちゃん。あの人たちは?」

「ああ。ドンガタの村ですから、地人族ですね。大地の友、と呼ばれる種族で、彼らの手になる工具や武器は大変丈夫で強いものだそうですよ」

「地人族」

「はい。そういえばあまり外に出る種族ではないので、コータちゃんは初めてでしたか」

「うん、初めてです」


 そうか。こっちの世界では、地人族というのか。よし覚えておこう。

 と、ウサギ兄妹が楽しそうに笑った。


「ミンミカのおうちのちかくにも、ちじんぞくいましたよ」

「こうせきほってたよね。ときどき、いっしょにごはんたべました」


 こうせき……鉱石か。そりゃ、工具や武器作るんなら必要だよな。なるほど。ウサギ獣人たちが住んでたところの近くにも、地人族は住んでいたと。今はどうなんだろうな……考えるだけ無駄か。俺にはそれだけのこっちの知識ねえし。

 あと、工具や武器だけなら俺たちにはあまり見るものがない。けれど、移動中にファルンが教えてくれたんだが他にもあるそうだ。


「ドンガタの村は、装飾品や織物なども有名なんですよ。紐細工ですとか」

「装飾に、紐?」

「特に武器なんですが、外装用に喜ばれるみたいです。装飾品も、武器の装飾などから発展したそうで。今では、専門で作っていらっしゃる方もいるようですから」

「あー」


 なるほどなるほど。

 そりゃ、普通にやってくる人たちが多いわけだ。武器を見繕いに来る人と一緒に、自分の装飾品とか探しに来るわけだ。新婚旅行でやってくるカップルも、多いとか何とか。結婚指輪……とは言わないんだろうけれど、それに似たようなものを買いに来たりするんだろうな。


「シーラ様。いくつか見て回りましょう。それで、お気に召したものを」

「そうする」


 カーライルに促されて、シーラはキラキラした目のまま足を踏み出した。ああ、せっかくだから俺たちも、護身用の武器とかあったら欲しいしな。

 資金はまだあるみたいだけど、一応気をつけよう。

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