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007.パーティ結成このあとは?

 さて。


 どうやら、今この世界で言うところの邪神、ということになる俺。

 その神の神官なカーライル。

 敵対する神様の僧侶で、今は俺の下僕であるファルン。

 そして、俺の昔からの配下だったことが判明したシーラ。


 何、この『これから世界を支配する神への復讐が始まるぞ』な雰囲気プンプンのパーティ。ただし周囲はおそらくみんな敵、ってまあそうだよなあ。


「……これからどうしよう」

「え」


 思わず呟いた言葉にすぐ反応したのは、さすがというかカーライルだった。続いてシーラが、軽く首を傾げる。


「サブラナ・マールと戦わないのですか?」

「あのな、今戦って勝てるわけないだろが。味方、これだけしかいないんだぜ」

「確かに」


 味方、今ここにいる全員。今のところ判明しているのはこれだけだ、ということはさすがにシーラも分かるよな。困った顔して頷いてるから。


「だいたい、過去にはもっと味方がいた状態で負けてるわけだしな。それからどんだけ経ったのか知らないけど、今この世界はほぼ敵ばっかだと思うぞ」


 現実を突きつけて、「そうだろ? ファルン」と多分一番現実を分かってるであろう彼女に話を振る。もちろん、視点がシーラやカーライルとは違うってのもあるんだけど。


「はい。現在はサブラナ・マール様を崇めるマール教が世界を治めている、といっても過言ではありません。コータ様を主神とするマーダ教は邪教として追いやられ、その神官たちは発見され次第粛清されたと聞いております」

「……私の一族も、それで滅びました」


 うぐ、ごめんカーライル。そういえばそんなこと、言ってたような気がするよ。それでよく生き延びたよなあ、こいつ。

 ていうか、そういう連中を相手に今突っ込むなんて無謀にも程がありすぎる。何しろ一度負けてるし。

 そうなると、やるべきことはだ。


「それと俺は、自分が覚えてないこともあるんだが敵と戦争するってのに慣れてない。情報も少なすぎる。だから、しばらくの間は普通に生活してこの世界に慣れたい」


 地味に理由追加したけれど要は、情報集めて考える。


「そして、情報と味方を増やすところから始める。できるだけ、サブラナ・マール側にばれないように」


 ついでにできれば仲間も増やす。ファルンみたいなのも、シーラみたいなのも。

 カーライル以外の神官がもしどこかにいるなら、凹んでるこいつのためにも探してみようかなとはちょっとだけ思った。

 なので、三人にはそう言ってみた。あ、みんな頷いてくれてるな。よしよし。


「発覚すればおそらく、今度は全力でこちらを潰しに来るでしょうからね。コータ様はともかく、シーラ様は」

「自分はもう、次はないでしょう。そうなれば、コータ様をお守りすることができなくなりますね」


 うん、シーラは分かってくれてる。ぶっちゃけ、俺がちゃんと邪神できればいいんだけどそうもいかないだろうし、しばらくはシーラに頼ることになりそうだからな。


「だから、今までどおり翼人族の剣士シーラとして振る舞えばいいんだよ。俺は神様でも何でもない、コータとしてやっていきゃいいんだから」

「わたくしはもちろん、サブラナ・マール様の僧侶ですから。もちろん、コータ様への忠誠の方が上ですけれど」


 ファルンも分かってくれてるようで何より。そうそう、身柄をごまかさないとこの世界、どうにも動けないっぽいしな。


「カーライルも、俺の神官だってのを隠して動いてほしい。そうだな……俺の保護者あたりでどうだ?」

「わ、わわわ私が、コータ様の保護者でございますかっ!?」

「角と尻尾付いてたら、種族違いで無理か?」

「いいえそのようなことは!」


 カーライルがパニクるの、ちょっとおもしろいなー……いや悪い。でもまあ、表情が明るくなったのならいいことだ。

 あと、首ブンブン横に振るのってこの世界でもやるのな。元の世界だと、縦振りと横振りが意味が逆な国もあるって聞いたことあるんだけど、ここでは特に問題なさそうで良かった。


「よし、じゃあそれで決まり。ひとまずはここを出て……」


 ここを出て、まずは近くの人里に行って、それで。


「とりあえず、俺の服何とかしてほしいんだけど」

「は、確かにそうですね。確か、この近くに村があります」


 うん、さすがにカーライルの上着だけで下着も何もなしだと心もとない。いや、ぶら下がるもんがないだけマシ、なのかな?

 いやいやいや。


「はい。カーライルの言う通り、ナーリアという村がございます。禁足地の境界線から少し下ったところですね」

「教会? サブラナ・マールの、だよな」

「そうです。私ともう一人、姉弟子に当たりますブランナという僧侶が預かっております」


 姉弟子。つまりは女の子ってことだ。よっしゃ、と心の中だけでガッツポーズを決める。

 そっちも下僕にしちまえば、ひとまず問題はない……かな?


「それと、村長がおります。こちらも女性ですから、コータ様はご安心を」

「あ、別に村長もいるんだ。そりゃそうか」


 ファルンの言葉に、そうだと納得する。つか、自治体の長も女性なんだ。

 ……もしかして、遠い昔の俺が男たぶらかしまくったからか?

 なんてーかこう、今の自分には想像できないよ。

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