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053.武器向けにくい相手だな

 程なく、ガゼルさんが隊長さんと数名の衛兵さんを連れて戻ってきてくれた。

 ……あのう、隊長さんが受付してたんすか。そんな暇なのか。いや暇な方がいいに決まってるけど。

 まあそこら辺は置いといて、ミンミカが掘り起こしてくれたスカラさんの顔を見てもらう。


「確認しました。確かに、スカラ様ですな」

「マジですか……」

「騒ぐなよ。これは、マール教にとっても重大な問題だからな」


 連れてきた部下たちにそう言い置いて、隊長さんは俺たちに頭を下げてくれた。


「ご協力に、感謝いたします」

「いえ。これも修行の一環でありましょうし、何しろわたくしと同じマール教の僧侶に関する事件でございますから」


 代表してファルンが答える。僧侶だし、彼らの言う通りマール教にとって大問題だろうしな。

 何しろ、あっちからしてみれば邪教の信者が自分とこの僧侶殺して成り代わってたわけだから。


「しかし、変装魔術となりますと我が部隊には、解除できる術者がおりません」

「それでしたら、ご心配には及びませんわ」


 でまあ、カーライルの杖についてもファルンに説明してもらう。で、カーライル自身は杖を使うとそれで本日は終了、であろうことも。


「おそらく、私は魔術の解除で精一杯だと思います。この街で起きたことでもありますし、捕縛などはお任せしたく思います」

「はい。ですが、できればそちらの剣士の方にはご協力をいただきたいのですが、可能ですか?」

「自分ですか?」


 カーライルについては了解ってことみたいだけど、何故か隊長さんはシーラの協力を要請してきた。はて、何でまた。


「理由をお聞かせ願いたい」

「はい。正直に申し上げますと、衛兵隊のやる気……ですね」


 やる気?

 大丈夫か衛兵隊、と思ったけど話を聞いてみる。


「これから我々が向かうのは、マール教の教会です。この世界はマール教の恩恵を受けていますし、街の住民もそうです。その教会を、たとえ僧侶様の偽者がいるからといって武器を向けて包囲することには抵抗のある衛兵もおりましょう」


 あ、そういうことか。

 やる気というよりは、マール教万歳な世界だからその教会に刃を向けるのはすっごくやりにくい、と。住民の人とか、一体衛兵隊は教会相手に何やってんだ、って言いそうだしな。


「それで、自分の力を借りたいと」

「申し訳ない。大変情けない事態なのですが」


 シーラはめちゃくちゃ複雑な顔になっている。まあ、俺の配下なんだからマール教に喧嘩売るのは平気だろうけど、状況が状況だしな。ちらちら、俺に視線向けてきてる。

 一応、口添えすっか。


「いいんじゃないかな、シーラお姉ちゃん」

「コータちゃま……」

「僧侶様の格好して、悪さしてるひとをやっつけるんでしょ? 大丈夫だよ」

「……そう、ですね。承知しました、同行させていただきます」


 よし、これでいい。変に衛兵とか敵に回すと、めんどくさいことになりそうだしさ。

 しかし、だんだんロリっ子口調慣れてきた気がするぞ。やべえな、これは。

 あとミンミカ、俺大丈夫だからしっかり背後に入ってるんじゃない。衛兵隊も、ここに邪神がいますよなんて気づいてないからさ。


「わたくしも同行いたしますわ。他の衛兵の方々には少し離れて待機いただいて、偽者の僧侶だとご理解いただければ遠慮は要りません」

「重ね重ね、ご協力に感謝いたします。そちらのお二方は、いかがなさいますか」

「ミンミカ、いくです」

「……わたしも、一人は怖いから行きます」


 ファルンも同行に声を上げる。ま、そうなると後は俺とミンミカの外見上戦闘力なさげコンビなんで、衛兵隊に守ってもらいつつ見に行くってのが順当なところだろう。

 ……もっとも、ミンミカには動いてもらおうかな。俺が偽僧侶だったら、どうするかってのを考えるとな。


「ミンミカお姉ちゃん。ちょっといい?」

「なんですか? コータちゃま」


 俺から指示が出る、と気がついてほにゃんと笑ったウサギ娘はやはりかわいい。後で吸う、決めた。

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