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046.積極的にみんなくる

 ……ふと、空腹を覚えた。こっちに来てから特有の方の、腹減った、である。


「あー、悪い。腹減った」

「お食事ですか? それとも、精気ですか?」


 即座に答えてくれたのがカーライルなのは、ちょっとアレだなあと思う。後、それは飯か風呂かそれともわたし、の言い方だなあ。こっちにその言い方、あるのかどうかはさておいて。


「精気の方。誰か、余裕ある?」

「ミンミカ、だいじょうぶですー」

「自分もいけます」

「わたくしも平気ですわ」


 女の子三名、全員大丈夫そうだな。いや、最初にファルン吸った時えらいことになったから、程々にしないといけないし。


「では、私は自分の荷物を片付けてまいりますので」

「すまないな、カーライル」


 こういう時、黒一点のカーライルはものすごく居心地が悪いようだ。もと男としてはなんかわかるけど。

 いそいそと隣のベッドルームに引っ込んだのを見送って、よしと俺は決めた。


「今日は、シーラにお願いしようかな」

「承知いたしました」


 ファルンはオーナーとやりあったりして疲れてるだろうし、ミンミカは俺に構いすぎだしな。なので、シーラからいただくことにする。

 彼女は背が高い……というか、外見ロリっ子の俺からしてみれば大人は皆背が高いんだが。なので、俺はこの部屋のベッドに上がって座る。その前に、シーラがひざまずいてくれて。


「では、いただきます」

「どうぞ。……んふっ」


 ちょっと多めに吸わせてもらう。何というか、要は魔力に匹敵するもんだと思うので今後、俺としても必要になりかねないし。

 てか、この世界、魔法とかないのかね? アイテムで傷を治すとかはあるから、一応あるような気がするけど。

 ま、そのうち聞いてみるか。


「ふう……ごちそうさまでした」

「お粗末さまでございました。少し、多く摂られましたか?」


 あ、シーラの方も気がついてたか。彼女なら大丈夫だろう、というくらいの量しか吸ってないけどさ。

 ちゃんと、説明だけはしておこう。


「うん、今後多めに必要になるかもしれないから。ごめんな」

「いえ。この程度であれば、自分は問題はありません」


 だよね。シーラは結構丈夫そうだし、だから多めにもらったんだけど。

 そうすると、見ていたファルンとミンミカがずずいと寄ってきた。何二人とも真顔で怖い。


「多めに必要ならば、わたくしからも提供できますわよ?」

「コータちゃま、ミンミカもほんとにだいじょうぶですよ」

「ああうん、ありがとうな」


 ……何というか、ファルンもミンミカも、俺の保護者か何かになりつつある気がする。もっとも、見てくれから言えば当然なんだけどさ。

 で、だ。

 シーラがほいと俺を抱えて、そのまま今まで俺が座ってたベッドに座る。俺は、彼女の膝の上。

 ミンミカがよくやる体勢だよな、これ。シーラがやるのは珍しいので、聞いてみる。


「……どうした? シーラ」

「……ここでは、危険はないと自分は思います。ですので」

「うん」

「しばらく、このまま抱っこさせていただいてよろしいでしょうか?」

「おう。そんなんで良ければ」


 何だ、シーラも俺を抱っこしたかったってか。

 抱っこされてるのが自分、というのを除くと角尻尾付き褐色肌ロリっ子なわけで、まあ抱っこしたくなるのも分かる……のかな。うーむ。


「あー! シーラさま、ずるいですー」


 そんなこと考えてる俺をよそに、ミンミカが思いっきり抗議の声を上げた。対してシーラが、珍しく不満げな声で反論する。


「ミンミカは、いつもコータ様を抱っこしているではないか。自分は剣士故、外では手を塞ぐようなことはできない」

「うー! コータちゃまをだっこするのは、ミンミカのおしごとですー!」


 いや仕事じゃねえよ、と声に出して突っ込むのは野暮なのでやめとけ、俺。


「ミンミカさん、わがままはいけませんよ」


 代わりに突っ込んでくれたのはファルン。ぷうと思い切りウサギ顔で膨れるミンミカに、しっかりと言って聞かせる。


「シーラは、外でコータ様をお預けできる存在としてあなたを信頼しておられるのですから。安全なところでは、少々良いのではないでしょうか」

「でえもお……」

「自分はしばらく離しませんので」


 シーラがきっぱり言ってのける。ぎゅう、と俺を抱きしめる腕の力はそんなに強くないけれど、これ外すのはちょっと無理かな。

 後頭部にふかっと当たるおっぱいの感触はまったくもって何も問題ないので、しばらく胸枕を味わうことにする。

 やったね、ロリっ子ばんざい。

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