427.もしかしたらやれるらしい
「おらあ!」
「はああっ!」
「がっ!」
俺の衝撃波プラス剣の攻撃と、わずかに時間差を置いてのシーラの剣戟。それをかすめるだけで避けつつ、サブラナ・マールがビームを上手いことサーベル状にして反撃してくる。
「負ける、かあああああああああっ!」
「こっちもだあああああああああっ!」
衝撃波を剣にまとわせて、ビームサーベルを……直接受け止めるのは怖かったからその下、持ってる手を狙って剣を振る。ぎん、と金属っぽい音がしたけれどそれでも、傷を負わせることはできたみたいだ。
「敵は一人ではないぞ!」
「ぎひい!」
俺とシーラが避けた次の瞬間、ルッタがやつの背後から剣を振り下ろす。がいん、と響いた金属音は、さっきよりも低く鈍い音。肩と腕で、ルッタの剣が受け止められている。ただ、少し食い込んではいるな。
「がああああああああああっ!」
ルッタが距離を離してすぐ、下からカーライルのビームが撃ち上げられる。じゅ、じゅっと何か蒸発するみたいな音がするのは、やつの服の裾なり靴なりがビームの餌食になる音らしい。さすがに直撃させて、全盛期モードとかになられても困るしな。
「おのれ! おのれおのれおのれえええええ!」
「アルタイラ様、お願いします!」
「任せよ!」
こっち向いて突進してきたサブラナ・マールを見て、シーラがそんな事を言うが早いか俺をぽい、とルッタに向けて放り投げた。そうして自分は剣を構え、やつとぶつかる。
「おうわっ」
「大丈夫ですか」
「あ、ああ、ありがと……」
さすがに俺のことはきっちりルッタがキャッチしてくれたので、た、助かった。
その俺の耳に、「ひぎゃあああああああああああ!」という何とも情けない悲鳴が届く。もちろん、サブラナ・マールが発したやつだ。
「……っ」
シーラが距離を取ると、片腕を抱え込んでいるやつの姿が見えた。血がだくだくと溢れ出していて、だいぶやられてるなとはこの距離でもわかった。
……あ、れ。
「コータ、様?」
一瞬、見えた気がした。
腕をもがれ、足を折られ、角まで剥ぎ取られた俺。その俺を遠くから、外側から両手で包み込むようなイメージでぎゅう、と圧縮していくサブラナ・マール。
俺の身体はその圧力でどんどん縮んでいって、やがてぐしゃり、という音とともに今の、幼い獣人の姿に変えられた。その中から、魂だけ引っこ抜かれてそれも、ぐしゃり。
その結果が今の俺、だ。
「コータ様?」
「……ん、大丈夫だ」
……どうやら、今見たのは前の戦の記憶、らしい。ちょっとは俺の中に残ってたんだな、うん。
「やってみっか」
サブラナ・マールにできるのであれば、アルニムア・マーダにできないということはないだろう。
手を伸ばし、掌の中にサブラナ・マールを包み込むように構える。もちろん、俺から見てだけの話だけど。
「ぎゃ! ひゃめ、やめろぉ!」
あ、何か怯えてる。ふうん、効果あるんだ。よーし。




