426.ちかくにいきたいらしい
「ふざけるなあ! この我が、貴様ら邪神ごときに負けるとでも!」
「負けたくねえから、こんだけ兵士引き連れて来てんだろうがてめえはああああ!」
手からビームに、衝撃波で反撃する。お互いうまく当たらず、器用に避けてんなあと思いながらシーラにしっかりとしがみついた。
「逃げるなあああっ!」
ぐんと上昇していたカーライルが、上からビームを降らせてくる。その間をかいくぐっているのはさすがだと思うけど……あ、一つかすった。
「ぎっ!」
微妙に動きが鈍いな、と思ったんだがもしかして、突き刺さったままの剣のせいか、あれ。時折柄持って引き抜こうとしてるみたいだし……何で抜けないんだろう? まあいいけど。
「コータ様、接近戦を挑みたいのですが」
「行ってくれ。俺も、あの剣返してほしいし」
「分かりました」
とりあえず、シーラと利害が一致したのでそのまま突進してもらう。手からビームはいまいち照準合わせが上手く行ってないらしく、シーラが避けなくても当たらない。それってどうよと思いつつ、目の前まで来たところでまずシーラが剣を振るった。
「はあっ!」
「当たるか……っ!」
うん、微妙に動きが鈍い。それはちょうどいいので、ガイザスの剣返してもらうぞ、と手を伸ばした。あっさり柄を握ることができたので、ちょっと拍子抜け。
「とりあえず、これ返せ!」
「ぐほっ!」
引き抜くのもあっさりできたので、本気でサブラナ・マールが何でこれを抜けなかったのかが謎だ。あと、口と傷口から血が出てるのは知ったこっちゃねえな。ただいま戦闘中だっての。
「はあああああっ!」
で、さっきやれた衝撃波を剣にまとわせるのをやってみる。よし、まるで風をまとったような剣を、サブラナ・マールに向けて思いっきりぶちかます。肩口をかすめたところで、そこから血がばっと飛び散った。
「きさまら、きさまらああああああ!」
「参ります!」
「私も行くぞ!」
「自分も!」
よっぽど痛いのか、全方位にビームをぶっ放しまくるサブラナ・マール。前の戦のときとか、そこまでダメージくらわなかったんだろうなあ……まあいい、カーライルとルッタ、そしてシーラが同時にやつへと突入する。
……そこまでなら良かったんだけど。
「教主様!」
「おのれ、マーダ教!」
鳥人たちが、わさわさと飛んでくる。ち、と舌を打ったのは……多分カーライルだな。「私が相手をします」と翼をはためかせ、そちらへと向かう。
「邪魔ですね!」
そっちは任せた、カーライル。俺たちは、あいつを斬る。




