411.そろそろ来るぞあいつらが
「しかし、戦争なのにいまいち緊張感ないな、俺ら」
「まあ、致し方ありませんな。これほど大掛かりなものは、マール教側も久方ぶりでございましょうし」
俺の甲冑の金具を調整しつつ、ガイザスが俺の言葉に答えてくれる。つまり、マーダ教以外にはマール教と対立する勢力が大してないってことなんだよな、この世界。
「自分たちは神のご加護により死にはしない、とか思うておるのでしょう」
「んなわけないのにな」
一応神様である立場として、はっきりそう言う。
神の加護ごときで死ななくて済むんなら、俺の四天王やシーラたちは今の姿になってねえよ。絶対、前の俺が加護を掛けてるだろうからな。
「そうでございますなあ」
はあ、と大きくため息をつくガイザスは、だけど何か満足げだった。ひと仕事やり遂げたぞ、って感じの。
うん、金具調整してくれたおかげでこの甲冑、俺が少々無茶な動きしてもずれたり外れたりしねえわ。
「いかがですかな?」
「うん、これでちょうどいいや。ありがとな、ガイザス」
「いえいえ。職人として、当然のことですでな」
お礼を言うとガイザスは、ほんとにこれが当然といった感じで胸を張って笑ってくれた。
こんなちゃんとした甲冑作ってもらったんだから、頑張らないとな。
「あと二日ほどで、マール教軍がアルネイドの街に到達します」
そんな報告が、俺のもとにたどり着いた。持ってきたのはシーラで、だから自分で飛んで見に行ったんだろうな。
「じゃあ、俺たちも出るか」
「分かりました」
そう言って俺が立ち上がると、控えていたルッタが続く。スティはアルネイドで指揮をとっていて、カーライルは別室で龍王の姿で待っているらしい。さすがに、人型と龍型で変化してくれるほど便利な甲冑じゃないからな、あれ。
にしても、だ。知らせを持ってきてくれたシーラと、俺についてくるルッタ。よく見なくても、同じ型の甲冑を着てるのはすぐに分かる。なんとなく、細かい細工は違うみたいだけどな。
「ルッタとシーラ、本当にお揃いだな」
「私の『剣の翼』ですからね。同じ甲冑でも、何の問題もありません」
「そのお言葉、胸にしかと刻みます」
ルッタは自慢気に胸を張り、シーラは彼女の言葉を聞いて感動して目をキラキラさせている。うん、翼もちょいと興奮気味にぱたぱたしてるな。
「そう言えば、背中どうなってるんだ?」
「ご覧になりますか? どうぞ」
翼の付け根のところがなんとなく気になったので尋ねてみると、シーラがひょいと見せてくれた。ああ、なめしたレザーの上に金属片縫い付けてカバー作ってるのか。ここ、狙われたりしたら危ないもんな。
「上手いこと作ってあるもんだなあ」
「急所ですから、狙う方も狙われる方も知恵を絞りますね」
確かに。




