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040.いろいろやることあるだろう

 ほどなく、アンディスに連れられてカーライルが戻ってきた。残念とはいえイケメンだけに、めちゃくちゃしょげてるのがすごく分かるなあ……まあ、俺はお前さんに戦闘能力は期待してないんだけど。


「ご、ご迷惑を、おかけしました……」

「いろいろ無事だったか?」

「い、一応商品扱いでした、ので」


 この場合のいろいろは本当にいろいろで、主に尻とか身分とか名前とかなんだけど全部無事そうだ。服装はまったく乱れてないしな、いや良かった良かった。

 で、彼を連れてきてくれたアンディスは胸を張って、俺に報告をしてくれる。


「一応、担当させてた奴は縛って部屋に放り込んどいたけど、それでいいかい?」

「ありがとう。もちろんだよ」

「喜んでもらえると、あたしも嬉しいよ。ご主人」


 こういう場合はきっちりお礼を述べるもんだよな。それで下僕がものすごーく嬉しそうに浮かれてくれるなら、安いもんだし。

 しかし、下僕って言われても外から見るとほとんど分からないんだろうな、これ。ファルンもそうだけど、俺が吹き込む前と基本的な行動パターンは変わらないし。

 ……ネッサは例外だ、例外。いや、もともとあんなどえむ女だと村の皆が知ってるなら例外でもないけどさ。

 でまあ、ここからの脱出手段だけど。もちろん、アンディスとニセの乗り合い牛車を使う。


「アンディス。お前の力を借りたい」

「何なりと」

「俺たちに資金を渡し、乗り合い牛車のフリをしてエンデバルの街まで送ってくれ。その後は俺たちのことを全て忘れた上で、エンデバルの官憲か教会の前で己のやったことを全て白状しろ。調査チームや官憲が出ることになったら、きっちりここまで案内するんだぞ」

「承知した、ご主人。このアンディスに、全て任せておくれ」


 俺の命令に、アンディスは自分のしっかりと盛り上がった胸をどんと叩いて請け負ってくれた。基礎がしっかりしてるんだろうな、揺れ方が焼きプリンみたいだ。


「他の女たちは、置いていくのですか?」

「ここで下僕にしたのはアンディスだけだからな。そんなにたくさん、一度には動かせない」


 ひそひそと尋ねてきたシーラに、そう答える。

 さすがに、アンディス姐さん一人で捕まってる人たちを全員連れて行くのは無理だ。歩いていくなら可能かもしれないけど、山道を女の子がぞろぞろ歩いて降りるって別の連中に狙われるかもしれないし、そうでなくても危ない。

 で、俺は男とキスをする気は今持ってこれっぽっちもない。だから、警察なり軍なりマール教なりに介入してもらったほうがずっとマシだろう。

 連中だってさすがに体面があるだろうから、町中でアンディスが自分の裏稼業を声高らかにぶっちゃければ動かざるを得ないはずだ。

 そして、それをやってもらうアンディスには俺たちのことは忘れてもらわないと、話がややこしくなるのは目に見えているからな。頼む、ちゃんと忘れてくれよ。

 おっと、その前にやっておくことがあったな。


「シーラ、カーライル。ひとまず、情けない顔でぶっ倒れてるアンディスの部下共を全部縛り上げて、空き部屋に叩き込んでおけ」

「承知しました」

「分かりました」

「なら、あたしも手伝うよ。あたしの手下が、恥ずかしいことをしちまったからねえ」


 シーラはどこか楽しそうに、カーライルは八つ当たりの相手ができたと嬉しそうに返事をしてくれた。アンディスも手伝いを申し出てくれたから、少しは早く終わるだろう。

 いや、あのモブチンピラ共を放置プレイするわけには行かないよな。気がついて籠城されても、逃げ出されても困る。

 そして、もう一つやるべきこと。こっちは力仕事じゃないから、今の俺でもできるけどね。


「ファルンとミンミカは、捕まってる女の子たちに食料を配っておこう。助けが来るまで頑張ってもらわないと」

「承知しましたわ。食料庫はどちらでしょうか」

「そこまでは案内する。手下縛るロープとかも、取りに行かないといけないからねえ」

「あんない、ありがとですー」


 ほんと、ここのボスが姐さんでよかったと今思いました、まる。

 男だったら縛ってしばき倒して口を割らせないといけないだろうから、めんどくさい上に目には良くない。絵面とメンタル的な意味で。

 というか、倉庫にまとめてしまってあるのか、単に隣同士だったりするのか、どちらだろう。どっちでもいいけどさ。


「よし、まずはみんなで倉庫だな。行くぞ」


 ともかくそこに行かないと始まらないから、さっさと行って片付けよう。

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