404.ラストボスとは口喧嘩
「ほほう。さすがに覚えていたかね?」
「いや全く」
ニヤリと笑うサブラナ・マール……教主に、ぶんぶんと首を振って否定する。何となく、そう思っただけなんだからな。
だから、口に出してそう言ってやろう。
「ただ、そんな気がしただけだけど……当たりか」
「おや。……心のどこかで覚えていてもらえたのだね。光栄だよ」
あ、なんとも思ってないな、こいつ。まったく……ああ面倒くせえ、こいつがラスボスなのか。しかも、俺自身のことを考えるととどめを刺せないのは多分、あっちも同じだ。
「えーと、どういうことなんですか? コータちゃま」
「つまり、神様が自分を布教するトップを兼任してただけの話だよ。ある意味自作自演」
「じぶんでじぶんをおがんでたんですか? へんなのー」
ミンミカの疑問に答えてやると、アムレクが全力でぶっちゃけた。うん、俺もそれ、変だと思う。俺はやだぞ、自分で自分を拝むなんてのさ。
で、教主はというと……しっかりマイペースを堅持している。ラスボスって、空気読まないのも大事だよな、うん。
「しかし、よもや幼子の姿で顕現するとはな」
「この状態で身体を封印してたのはお前らだろうが。魂の残り滓が上手いことハマっただけだ」
一応、付き合ってやろうとは思う。それなりに情報がもらえたらありがたいんだけど……どうかね?
「まあ、確かにな。できれば過去の、それこそ男を食い荒らす妖女の姿で残したかったのだが……今の幼子の姿も、なかなかそそるな」
「キモっ」
「うわあきもちわるーい」
「サブラナ・マールさんはへんたいですか?」
「あーまあ、アルニムア・マーダ様が和解したくない理由はよっくわかりました」
「あの……外では口外なさらないほうがよろしいかと思うのですが……」
思わず全員で攻撃したくもなるよな、口で。
要するに女なら何でもいい、って言ってるようなもんじゃねえか。しかも今の俺、外見は獣人ロリっ子だぞ。ロリコン、ペドフィリアかサブラナ・マール。いや、俺こいつの配下にならなくてほんとよかったわ。
でまあ、さすがにこんな言われ方をされればいくら神様だって怒るわけで。
「貴様ら!」
「素直な感想を述べただけだろ」
いい年こいたおっさんかっこ推定、が青筋立てて立ち上がったのに、俺は平然と言葉を返す。いくら神様であっても、変態は変態なんだからあきらめろ。
「第一、こっちの戦力増やしたくないからか知らねえが、ライバルを性転換させるとかどうよ? 本当にただの変態じゃね?」
「な……」
「おかげで今、中身は男だよ。だからこそ、遠慮なくお前の僧侶たちを下僕にできるんだけどな」
あー、何か勢いで言っちゃったなあ。ま、いい加減バレてるだろうからいいけどさ。




