表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
398/432

397.昔の地上と今の地下

「サブラナ・マールのことは置いとこう。昔と同じなら、そのうち俺に何やかや言ってくるはずだ」

「それはありえますね……」

「ま、今更嫁になれとか言ってくるようなら鼻で笑ってやるけどな」


 全く。そんな神様を信仰して生命まで賭けてる、マール教信者の皆がちょっとかわいそうになるよ。

 前の俺も全力で振ったんだろうけれど、その結果がこれだからなあ。次は頑張らないと。

 さて、変態神様と難しいことは分からないウサギ兄妹は置いといて、だ。ちなみに後者は出入り口にいて、外の気配を監視してもらっている。


「マップの方はどうだ? できたか?」

「は、ざっとですが」


 そう言って、カーライルがテーブルの上に紙を広げてくれた。その横に、ファルンももう一枚広げる。

 ぱっと見、似たような建物の構造図だな、これ。


「これが、かつての戦のときに使われた本拠地の大体の構造です」

「わたくしの方は、知っている限りの聖教会の構造ですわ」


 広げた本人たちが、それぞれを説明してくれた。なるほど……確かに似た構造してるわ、この二つ。じっくり見比べると、似てる場所がはっきりわかる。


「これ、がっつり流用してね? この地下部分、本拠地だったときの地上階だろ」

「使い回してますねー」

「だよな」


 カーライルたちが書いた本拠地は、俺たちが負けてマール教に占領された後埋め立てられた。だけどこの建物は完全に潰されず、ちゃっかり再利用されたってことだ。


「ということは」


 二つのマップを見比べて、とってもよく似たところがあるのに気がついた。転生組の方だと玉座の間、ファルンの方だと……教主執務室。これ、執務室の中は真っ白だけど外の廊下とか階段とかから考えると。


「この地下にある執務室って、俺の玉座だったところかあ……」

「そのようですね。マーダ教の長がおわしたところに今、マール教の教主が居座っていると」


 シーラが俺と同じように二つを見比べて、はあと肩をすくめる。と、ファルンが手を伸ばし、真っ白で中が何も描かれていない執務室の、廊下と反対側を指で軽く叩いた。


「この裏に、教主様との夜伽に使われる部屋があるというお話ですわ」

「……昔は俺が使ってたんだな、多分」


 ちらり、と本拠地時代のマップに目をやる。そこにはもう一つ部屋があり、寝室と記されていた。この場合の寝室ってつまり、ガッツリやることやるための部屋、ってことだろう。


「昔のコータ様は、主に男の精気を糧になさっておりましたから」

「前に聞いたな」


 レイダが思わず口調変えて答えるのは、微妙に緊張してるからだろうか。いや、大丈夫だから今更。というか、外見ロリっ子なの気にしてるわけでもないだろうに。


「ま、だからマール教の僧侶や勇者が女性ばかり、ってのは納得がいく。俺に吸われたり吹き込まれたりして、男が使えないんだから」


 現在のマール教で、教主を除いた僧侶は皆女だ。勇者として選ばれてるのも、どうも伝説なり何なりを鵜呑みにすれば全員女、と言っていいだろう。その理由が『男は俺が吸った』でもまあ、しょうがないとは思う。

 思うんだけど、なあ。


「ただ、そもそもの原因が単なる痴話喧嘩かもしれない、ってのはなあ」


 そんなしょうもない理由で世界規模の戦争起こされたら、住民堪ったもんじゃないぞ、おい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ