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392.いろいろ見るは資料室

 礼拝堂から廊下を経て、奥にある大きな部屋へと順路は続いている。えーと、入口に掲げられた看板は……『聖戦資料室』?


「かつての戦における『輝かしきマール教の勝利』に関する、様々な資料を収めた部屋ですわ。観光ルートの中でも人気スポットの一つです」


 ファルンが、めちゃくちゃ棒読みで説明してくれた。ああ、大きな戦争だったみたいだし、そういうものがあってもおかしくはないのか。

 さて、順路はここに続いているわけだし、入口前で引き返すのも何だしな。


「……み、見ましょうか。コータちゃま」

「……そうですね……お兄ちゃんやお姉ちゃんたちは、どうしますか?」

「ああ、見るよ。ほら、皆行くよー」

『はーい』


 カーライルが何か困った顔してるんだけど、でもまあ見ておくに越したことはない。俺は前の戦なんざ覚えてないわけだし。

 レイダがため息つきつつ、皆を後押ししてくれたのは助かった。いや、他の集団から見たら何でこんなところで止まってるんだって絶対不審がられるし。


「ちなみに、資料室パンフレットもありますよ」

「パンフレット、もらうですか?」

「そうですね。自分も一冊、いただきたいです」


 入口を入ったところの棚に積んであったパンフレット、ってぺらぺらの紙なのかなと思ってたら、結構しっかりした本だった。何、これも無料?

 何考えてんだマール教、印刷……というか何か木版ぽい気がするけど、その印刷代やら和綴じしてる製本代やら、どこから出してんだ? グレコロンみたいな金持ちからの寄付か? 年貢みたいなもんがあるのか?

 ……ま、いいか。俺も一冊もらっていこう、敵の研究にゃちょうどいいだろうし。


「投石機とかあるんだ」

「鳥人が空から攻撃してきますから、それへの対処もあったようですわね」

「下から岩が飛んできたら、自分は不意を打たれる感じで怖いですね……」


 結局の所は全員がパンフレットを手にして、資料室の中を見て回る。戦力差のグラフとか当時の書類、使われていた武器、戦場の地図など、結構ちゃんとした資料を見ることができる。投石機はミニチュアが作ってある。誰だこれ作ったの、完全に趣味の域だろ。


「これがアルニムア・マーダで……こちらが四天王ですわね」

「すごいなー邪神、角こんなにたくさん生えてるんだー」


 敵……ま、要するに俺たちの姿を描いたという大きな壁画を前にして、どんだけ悪党っぽく描かれてんだよ俺たちと顔をひきつらせたのは何というか。


「何この牙の生えたタコ……海王ネレイデシア? うーわー」

「龍王なんて、首が大量に生えていますよ……すごいですよね、コータちゃま」

「よく首もつれないですよね、カーライルお兄ちゃん」


 レイダやカーライルは自分の描かれ方に全力で固まってるしな。いや、俺も大概だったけど。翼なんか生えてねえよ、自前で空飛べるなら欲しいからくれよ。

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