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391.ひとまず見るは聖なる剣

 聖教会の表玄関を入ってすぐのところに、受付がある。そこで俺たちは、全員が入域証のチェックを受けた。ま、きちんと申請してもらった正規のものだから問題はないはずだけど。


「入域証確認いたしました。どうぞ、順路に沿ってお進みくださいませ」

「ありがとうございます。さ、参りましょう」


 受付担当僧侶さんのビジネス笑顔とともに、予想通りさらっとクリア。皆で、先導役を買って出てくれてるファルンについて歩く。そりゃマール教の都だし、マール教の僧侶が先頭に立つのは何もおかしくないからな。

 中に入ると、まあまずは基本というか礼拝堂である。でかいんだけど、外から見た教会のサイズからするとかなり小さめに思える。ま、事務棟とか僧侶や職員が働いてる場所とか込みであのサイズなんだし、当然というか。

 当然、といえば。


「当然ですけど、全体を見られるわけではないのだな?」

「それはもう。実際に様々な職務が行われている裏の院には入れませんし、公開されている表の院の範囲はせいぜい三分の一ですわ」

「三分の一か……」


 シーラとファルンの会話に、それでもやっぱり十分でかいわ、と思い直す。三分の一の中に、この礼拝堂があるわけで。


「あ、あれ」


 と、ミンミカが……僧侶が説教のときに立つ場所というか、要は奥の方を指差した。普通の教会だと、壁の高いところに紋章が飾ってある場所。そこに、紋章代わりに何かド派手な剣が飾ってある。……あれ、紋章と似てるな?


「収められている聖剣ですわ。あれは複製品だそうですけど」

「あ、そういうこと」


 紋章じゃなくて、紋章のモデルを飾ってるわけか。しかも複製品って、何というか昔盗まれたり盗まれかけたりしたんだろうなっていうのが丸わかりである。俺の信者だったりしたら何かごめん、とは思うんだけど、でもそれが一番可能性が高いよな。


「じゃあ、ほんものさんはどこですか?」

「本物は……ここの奥深く、かな」

「警備の問題などもあるそうですし、仕方ないですわね」


 ミンミカ、確かに皆疑問には思うんだろうけどずけずけと口にするのはお前と兄くらいのもんだ。カーライルの推測は至極単純なものだし、ファルンが挙げた問題も仕方のないことだよな。やっぱり俺の信者辺り、盗みに来ただろ。そりゃ喧嘩も売られるわ。

 で、アムレクはというと、もっと失礼というか確かにそうなんだけど、ということを口にした。


「……しつれいだとおもうんですけどー、あのけん、いくさにつかうにはおもそうですー」

「ああ、確かに」


 そうなんだよね。この聖教会の上に突き立つように飾られているあの紋章の元、ということもあるんだろうけれどこう、柄が金と宝石の装飾でごてごてしてるし、鞘だって同じように植物っぽい装飾のあちこちに宝石がきらきらしてるし。


「ちょっと装飾過多だよねえ。何かな、由緒のある石だったりするのかね」

「サブラナ・マール様のご加護を受けた宝石、だって書いてありますね。説明に」


 レイダがアムレクに賛同するのは……ま、そういう性格だしな。カーライルの言う説明板は順路の横の壁に掛けてあるもので、確かにそんなことが書いてあるな。そういう疑問、今までにも出たんだろうか。それとも、サブラナ・マールの威光を示すために最初から、とかか。


「じゃあ、そのおかげでかるいのかもしれませんね!」


 とは言え、その推定軽いのでぶっ刺された俺の身にもなれ、アムレク。いや、言ってもしょうがないことなんだけどさ。

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