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389.神の都の昼食は

 さて。

 観光客という触れ込みできたはいいものの……ぶっちゃけ、腹が減った。そろそろお昼だしな、しょうがないんだけど。


「じゃ、見物前に御飯食べるかい? せっかくただだっていうんなら、さ」

「そうですね。あちこち見て回るんですし」


 レイダとカーライルが、俺たちの様子を見てそう決める。うん、全員いかにも腹減ったーて顔してるしな。特に分かりやすく垂れ耳が更にへたれてるウサギ兄妹とか。


「じゃあ、ファルンお姉ちゃんのお勧めのお店とかありますか?」

「僧侶仲間で評判のお店がありますから、そちらにいたしましょうか」


 ロリっ子モードでファルンに尋ねると、そんな答えが返ってきた。なるほど、こうやって観光客を連れてくる僧侶とかもいるから、そういう仲間内で情報交換はしてるんだな。それで評判なら、大丈夫そうだ。

 ん、食い物と言えば。


「そう言えば、マール教って厳密には食っちゃいけないものとかあるんですか?」

「ないですわよ。せいぜい、盛られたものを残すのは駄目ですよ、くらいですもの」

「あ、それなら良かった」


 ほら、あるだろ。教義によってこれ食っちゃいけないとか、処理の仕方が決まっているとか。マール教にはそういうものがないらしくて、ホッとする。マーダ教は特にないですよ、とはだいぶ前にカーライルが言ってたかな。


「この世界では幅を利かせている宗派ですから、流通しているものは何の問題もなく食べられるものなんですよ」

「……あー」


 まあ、言われてみればそうか。マール教が、これ食べちゃいけないから流通させるなとか言えば止まりそうだもんな。

 とりあえず、獣人や鳥人でも問題なさそうなものばかりだし、毒とかは考えなくてもいいか。

 ……神様に毒って効くのかな、とか思うけど。




「神の恩恵に感謝を。いただきます」

『いただきます』


 ファルンが連れてきてくれたレストランは、街の中心部から少し離れた水路の脇にあった。結構静かで、お客さんでごった返してるなんてこともない。接客係に獣人がいたりして、俺やレイダを迎えても嫌な顔ひとつせずに席まで案内してくれた。

 そうして注文した料理を、皆で食べ始める。初めてのところだからあんまり無茶な注文はせず、おすすめセットを選んだ。メインが肉でサラダと副菜、それにパンとスープ。後でちゃんとデザートも来るらしい……前の世界とそんなに変わるもんじゃないんだな、こういうのって。


「あ、普通に美味しい」

「……コータちゃま。都の料理がいまいちでは、問題だと思うのですが」

「味付けもほどほどですし、平均的な料理という感じですわね」


 俺のつまんねえ感想に、シーラとファルンが返してくる。いや確かに、僧侶に評判ってのはちゃんと味も加味されてるんだな、うん。


「世界のあちこちから来るんだもんねえ。地方の専門的な料理屋さんも、探せばあるんじゃないかい」

「ミンミカたちようのごはんやさん、あるですか?」

「ああ。お二人はそちらのほうがいいかもしれませんわね。確か二軒ある、という話を伺っていますわ」

「あるんだ。ぼく、つぎはそこいきたいです」


 草食系獣人用の、野菜系の料理を出す店もちゃんとあるのか。……レイダは普通の飯を普通に食ってるけど、魚人にも種類があるし……そういった連中用の店もあったりするのかな、やっぱり。

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