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385.潜入するならこのメンツ

 神都サブラナに潜入するメンバーの選定も終わり、すぐに俺たちは準備にかかった。ちなみに一番時間がかかったのは……正式に目的地に入るための手続き、ってのが何だかな。


「一応、グレコロン・サンディの協力を得たことで神都サブラナへの入域手配はできました。ですが、これが罠である可能性も捨てきれませんわね」


 そう言ってファルンが見せてくれたのが、正式な入域証。そういうのがないと、観光客は神都サブラナには入れないらしい。僧侶などの関係者は、身分証明ができれば良いそうなんだけど。

 まあ、マール教の中心部なんだし俺たちみたいな対立組織があるのも分かってるから、警戒は厳重なんだろうな。

 で、その入域証を俺たちに配りながらファルンは、少しむごいなと俺が思うことをサラリと口にした。


「もしわたくしがバレましたならば、すぐにお見捨てください。わたくしは皆様と違って、コータ様の下僕ですから」

「一応、バレたら全部忘れろって言ってはあるけど……忘れない可能性もあるしな」

「その辺りで、ご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんもの」


 うん、分かってる。他の皆は俺の配下で、自分の意志で俺に従ってくれている。だけどファルンは、俺が最初に俺の気を吹き込んで下僕にした存在だ。その気が抜ければ、こいつは正気に戻って元の、敬虔なマール教の僧侶に戻る。

 だから、俺はファルンを切り捨てる覚悟をいついかなる時も持っていなければならない。そうでないと配下や、更には自分自身にまで害が及ぶかもしれないからだ。

 だけど、その時のために俺は先に、ファルンに言っておかなくちゃな。


「分かった。その時は、俺を恨んでくれて構わない」

「気に留めておきますわ」


 それは肯定なのか、というなんとも微妙な答えが帰ってきた。ま、敵対する宗派の僧侶に恨まれるのはしょうがないよな、うん。

 さて、ファルンの方はともかくとして。


「レイダ、拠点の方は良いのか?」

「燕を送りましたので、問題はございません。ズノッブが胃を痛めるくらいですわね」


 こっちも違う意味でさらっと返された。要は副官がいるから、しばらく留守しても平気だろうということかな。

 あれ、確か聞いた名前……のような気がするんだけど、誰だっけ?


「ズノッブって、聞いた名前なんだけど」

「ああ、お忘れでも致し方ありませんわ。コータちゃまと初めてお会いしたときに一緒にいた、イカ野郎の名前ですもの」

「あ、そう言えばそういう名前だった!」


 そうだ、レイダと一緒にいたイカ兄ちゃんだ! そうかそうか、確か俺たちの目の前でやり取りしてたもんな。なお、俺以外の連中も「そういえば、そういうなまえでしたっけー」「すっかり忘れておりました」とか言ってるけども。


「というか、一緒にいるんだ?」

「一応副官、というかわたくしの尻拭いをしてもらっておりますわね」

「わあ」


 何、今も苦労してるのか、あの兄ちゃん。何というかお疲れ様、と遠い拠点にいるイカ兄ちゃんに届かない声を飛ばしておこう。


 さてさて。

 俺、カーライル、シーラ、ファルン、ミンミカ、アムレク、そしてレイダ。

 入域証の都合もあるけれど、神都サブラナに向かうのはこの七名で決まりだ。


 やれるかどうかわからないけれど、とにかくやってみるさ。

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