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384.行くなら私も連れてって

「なぜ、お前が来たんだ」


 ルッタが呆れ声を上げるのに、ボディラインにぴったりしたシンプルなロングドレスを着たレイダはこっちにやってきながら肩をすくめる。よくここまで来れたなって思ったけれど、ウサギたちが面識あるか。


「ん、うちの被害報告にね。あと、たまにはわたくしとて、コータちゃまを愛でたいんだよ」


 ……んー? 何というか、一人称と言葉遣いにギャップないか。俺が突っ込もうとする前に、カーライルがツッコミを入れてくれた。


「……口調混じってますね、ネレイデシア」

「混じっちゃってね……ああクァルード、お前さんだったんだねえ」

「よく言われますよ」


 カーライルがまだクァルードとして目覚める前に会っていたこの二人の、再確認の会話。そう言えば、他の四天王たちもカーライルには気づかなかったなあ。それだけがっちり、封印されていたんだろうか。

 ま、解けたんだからいいことにしよう。レイダがこっち見てるし。うむ、相変わらず触手混じりの髪とたこっぱいは健在である。よきかな。


「お久しゅうございます、コータちゃま」

「ああ、久しぶり。拠点の方、移ったんだって?」

「はい。元いたほうが目をつけられて、鳥人による空からの攻撃と船で乗り込んできたのとで」


 どうせ後で報告書を読むことになるんだと思うけど、その前に概要を聞いておくのも悪くはない。なるほど、二面攻撃だったわけだな。


「あら、それで尻尾巻いて逃げ出したのかい?」

「全力でやれば勝てない相手じゃなかったけど、そうすると更に大量につぎ込んできそうだったんでね」


 スティのツッコミは辛辣だけど、それにレイダは平然と答える。……そうだな、返り討ちにされたらその次は、何倍もの戦力で押し潰しに来るだろう。俺がマール教側なら、そうする。敵の四天王の一角を、潰せるいい機会だからだ。


「そうなれば、わたくしどもは全滅しかねなかったもの。コータちゃまの大切な勢力、無駄に減らしたくはなかったからさ」

「レイダのところは水に適応した連中が集まってるから、それがいなくなるとこっちも作戦の幅が狭まるからな。仲間を守ることも含めて、良い判断だったと思うぞ」

「ありがたきお言葉」


 一応、俺なりに分析してそれでいいと思ったので、言葉を贈る。というか、マジで水系いなくなると水中からの奇襲とかそういうのできなくなるし。こっち側唯一と言っていい、アドバンテージを失うことはしたくないからな。

 ひとまず落ち着いたところで、レイダが「それで」と話を切り替えてきた。


「神都サブラナに突入、するんですか?」

「まあ、そういうつもりだ。レイダが頑張ってくれたおかげで俺の勢力は余り減らずに済んだけど、そもそもの数がどうしても少ないからな」

「ああ。真正面からマール教とぶつかったら、勝てませんわね」


 俺たちの話、お前どこから聞いてたんだろうな? ま、説明し直さなくていいから楽で助かるけど。それに、彼女の指摘が結論に至る最大の理由だからな。

 そして、レイダは自身の主張をあっさりと切り出した。


「なるほど。それでしたらこのネレイデシア、同行をお許し頂きたいと思います」

「理由は?」

「神都サブラナの中心部は、周囲を深い堀に囲まれております。無論警備は厳重なのですが、それでも地上や空を行くよりは緩めだと思いますわ」


 防御のための堀って、魚人のいる世界だとあんまり意味ない気がするんだけど。でも、他になにか理由があって、それを作っているのかもしれないな。


「先行して潜入するにしろコータちゃまをお連れするにしろ、わたくしがいて損にはならないと思いますのよ」


 そして、理由はともかくレイダの申し出を断る意味があまりない、ってことも。

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