表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
383/432

382.やっていくならどこにいく

「ドンガタが陥落しました」


 そんな連絡が入ったのは、ガイザス工房が城で稼働を始めてほんとにすぐだった。ガイザスたち、結構ギリギリのところで逃げてきたんだな。


「陥落……潰された?」

「まあ、正確にはマール教の実戦部隊が占領したわけですが」

「確かに陥落か」


 例によって報告を持ってきてくれたカーライルが、俺の答えに肩をすくめる。しかし、ドンガタがあっちに占領されたとなると、他の街……アルネイドは足元だから良いとして、もう一つが気になるな。


「バッティロスは、どうなってる?」

「今のところは平穏ですが、住民が洞窟内でも奥の方に移動を始めたようです」

「てことは、危ないと思ってるんだな」


 そう言えばあの村、住宅は基本洞窟の中だったっけか。その奥の方に向かってるってことは、表に近いと危ないってことか。マール教の侵攻を見越してのことなんだろうな。

 まあ、バッティロスまではちょっと遠いから、衛兵部隊の増派を考えて……それから。


「アルネイドの警戒を密に、あとクルンゴサに偵察を出したほうがいいか」

「既に手配しておりますが、今のところ動きはないようです」

「周りから潰す気だな」


 早いな、おい。まあ、お前らがそこまで優秀な配下だと、俺の所まで来る書類が減って助かるけどさ。

 というか、最近のマール教の動きを見てれば当然そうするってとこか。


「……こっちが条件受け入れないと知ったら、完全に叩き潰しに来たかな」

「恐らくは。マール教にとっては、我らマーダ教は完全に邪教ですからね」

「ま、俺が邪神扱いだしなあ」


 そりゃあ、拝んでる神様の敵なんだから潰しに来るよな。まだこっちの直轄地だけを狙ってる感じだけど、総戦力をこの城にぶつけられたら……うん、負けるな、俺。


「どうなさいますか」

「どうもこうも」


 カーライルはそう尋ねてきたけれど、多分こいつも分かっていると思う。今の状況を、何とかして抜け出すすべを。


「今の時点で、戦力は断然あちらが上だ。このまま正面衝突しても、こっちに勝ち目はない」

「はい」

「かと言って籠城戦なんてことになっても、ジリ貧だ。食料と水はそれなりに確保できてきてるけど、それだけで耐えきれるわけがない」

「ええ」

「そうして、こっちから降伏なんてことになったら」

「前の戦が終わった時と同じように、私たちは再び封じられます。コータ様は恐らく、サブラナ・マールの元に」


 全く、冗談じゃねえや。

 その責任の一端は、俺をこの世界に呼び戻したお前にあるんだけどな? カーライル。

 俺が戻ってこなければ……この世界はずっと、サブラナ・マールの支配下にあるまま進んでいったんだろうから。


 ……それはそれでムカつくな。シーラや四天王たちが、支配されたまま生きてる世界なんてさ。


「じゃあ、やるしかないな」


 そんな世界に戻したくないし、戻すつもりはない。

 だとしたら、やることはひとつだ。


「少数精鋭で神都サブラナに乗り込んで、直接教主を潰す。サブラナ・マールとは話し合いに持ち込みたいが……無理なら、やるしかない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ