378.向こうのやり方こちらのやり方
「まあ。ざっくり撃退して、自分たちは逃走したと見せかけて拠点を移動したそうですが」
「大雑把だなあ」
報告してくれたカーライルの言い方もだけど、レイダの対処法も大雑把というか何というか。
一応拠点狙われたんだから、もうちょっと焦ってやれよ。マール教の部隊がかわいそうだろうがよ。
「とりあえず、無事なんだな?」
「少々被害は出たとのことですが、概ね」
「一応お見舞いに何か送ってやれ。あと敵と被害の具体的な情報も欲しい」
「分かりました。手配します」
「頼むぞ」
陣中見舞……とは違うのかな。ともかく、必要な物資を知りたいし、敵の情報が手に入るならそれに越したことはない。
カーライルの持ってきた報告は取り急ぎのものだったから、詳しいことが分かっていない。詳細な報告は、これから調査して入るのだろう。
……しかし、先手というか売ってきやがったな、ちくしょう。
「俺たちは、勝てるかな」
「難しいですね」
カーライルがこう、はっきり答えてくれるのは助かる。きっと勝てますよ、とか希望的観測がでかすぎる答えはいらないんだよ。
「理由は」
「ネレイデシアの場合は拠点が島でしたから、マール教側も短期間で準備したようですし動員できる人数や武装が限られています。ですが、他の拠点は陸上ですから」
「輸送大事だな、ほんと……」
聞けば答えてくれるのが、カーライルのいいところ、かな。まあ、俺が主に当たるんだし聞いて答えないわけもないとは思うんだが。
しかし、そうか。島に攻め込む場合は鳥人とか船とか調達しないといけないもんな。陸上輸送の牛車なり何なりの方が、調達はしやすい。人間や獣人も動きやすい……つまり、攻め込みやすい。
ただ、今回は十分準備した上での攻撃ではなかったようだ。もしくは、レイダ軍の勢力を甘く見ていたか。
「となると、レイダんとこも次は物量作戦で押しつぶしに来るか?」
「その可能性はありますね」
俺だって、その立場ならそうするよ。しっかり準備整えて、パワーで叩き潰しにかかる。それが一番、敵を倒しやすいと俺は思うから。
頭だけを狙って少数精鋭で突入、つってもそいつらを突入させるために囮なり陽動の別部隊は必要になるわけで。
「もっとも、基本的には彼女の拠点の本拠は地下、というか海中ですから」
「あ、そうか。魚人とかがメインだもんなあ」
「元の拠点もそうですが、海中にも出入り口があります。私も、過去にそう言った砦を訪れたことがありますから」
あ、行ったことあるんだ。そりゃそうか、同僚なんだから情報の共有とか、配下の融通とかもやってたかもしれないしな。
というか、カーライルが通れるんならそこそこ大きい出入り口ってことか。いくら水中でも、翼広げてるだろうし。
……まあ、拠点の構造はともかくとして。ひとまずの対策だけは立てておくか。
「各地には既に注意喚起してると思うが、衛兵隊を増員したほうが良いならそうしてくれ」
「承知しました。ここの守りも減らすわけには参りませんが、その上でできるだけ」
だからそう命じると、カーライルもすぐに頷いてくれた。




