表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
367/432

366.こちらの神とあちらの言い分

「……そろそろ行っとくか。追い打ちみたいに」

「参りましょうか」


 カーライルに声をかけると、頷いてくれてそのまま街に向かっていく。と、ルッタとシーラが気づいてくれたようでこちらに目を向けた。


「おいでくださいましたか」

「まあな。いやほんと、いい加減にしたほうが良くないか? マール教」


 ルッタの言葉に、軽く張った声で答える。……声はどうしても、子供のものになっちゃうよなあ。しょうがないか。


「な……」

「皆の衆には、お初にお目にかかる。我が名はクァルード、アルニムア・マーダ様にお仕えする龍人の長」


 先にカーライルが、本来の名前で名乗った。俺も、続こう。


「我が名はアルニムア・マーダ。かつてサブラナ・マールに封じられた、マール教から言えば邪神だな」

「なっ」


 うん、マール教も住民たちもざわつくのはすごく分かる。何しろ、伝説の邪神と言うやつだろうしな、俺は。

 それがいきなり現実に出てきたら、嘘でも本当でもざわざわするよな。うん。


「クァルードの尽力により、俺は今この世界に蘇っている。四天王たちも、俺が復活させた」


 これは嘘じゃない。俺はクァルード、カーライルが必死に呼び寄せたアルニムア・マーダの魂の欠片だ。

 四天王は全て、カーライルも含めて俺が復活させた。……信じる、信じないは勝手だけど。


「マール教。お前らが喧嘩売ってこないなら、こっちもおとなしくしてるつもりはあるんだが」

「それを焚き付けてくるのはマール教、貴様らの方だ。我らと我らが神の怒り、今その身に思い知らせようか?」


 一応戦闘態勢に入った教育部隊、相対するシーラとルッタを前に俺たちは、こちらの意思を表明する。いやほんと、喧嘩売ってこないならこっちも買う必要ないし、正直うってほしくないんだよね。


「ふ、ふざけるな!」

「マーダ教は悪! 世界はマール教によって、正しくあるのだぞ!」

「獣人や魚人たちへの差別が、正しい世界だと?」

「マーダ教に与した者が、生きていられるだけでもありがたいと思え!」


 シーラが眉間にシワを寄せながら投げかけた言葉を、教育部隊はまあムカつく言葉で返してくれた。

 これは一発、脅しを掛けておいたほうが良いかもしれないな。なあ、カーライル。


「失せよ! 愚か者がああああああっ!!」

「ひいいっ!」

「わあ!」

「お、お助けをっ!」


 びりびりと、カーライルの雄叫びによって空気が震える。それは同時に、人々の心まで震えさせたらしくて……教育部隊がパニックを起こして、我先にと街を飛び出していく。

 街の人たちは足がすくんだり頭抱え込んだりしたけれど、その場を動くことはない。人によって、効果が違うんだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ