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358.城に戻ってこの後は

 城の中を歩きながらふと、ドタバタすぎて割と見過ごしていた事に気がついた。カーライル、クァルードになる前の服をそのまま着てる。負傷したときの破れなんかもない、綺麗なままで。


「服、戻ってるなあ」

「変化の直前に着ているもの限定で復元できますよ。……破れとかまでは、再現しないようですが」

「マジか」


 あっさり返ってきた答えに、便利だなそれと思う。変身した後戻ったときに、服が普通に着れてるのってそれなりに理由があったりするんだけどちゃんとあったんだな。


「便利だな……とりあえずカーライルでいいか」

「お好きに呼んでいただいて構いません」

「まあ、かしこまった場ならともかく、人様の前とかでクァルードなんて呼べないしな」


 一応、呼び方を徹底しておこう。クァルードなんて呼ぼうものなら、この残念イケメンが実は人型した龍王なんですよーって言いふらしてるみたいなもんだし。

 だから、カーライルの呼び名でこれからも行くことにする。……敵を相手にしてカッコつけたいときとかは龍王クァルード、って呼んでやろうかなとは思うんだけど。


「俺たちもカーライル、と呼ぶか」

「自分も……カーライル様、でよろしいでしょうか?」

「どうぞ、お好きに」


 スティやシーラも、俺に並ぶようだ。……シーラは様付けになるのが、ちょっと慣れないかもしれないな。

 そういえばカーライル、俺の神官の一族だって言ってたな。裏切り者がいて、それ以外の生き残りはカーライルくらいだって。


「ていうか、神官一族って龍人族だったのか?」

「いえ、そういうことはないはずなのですが」


 そのへんを聞いてみると、首を横に振られた。他の三人はちゃんと同じ種族として生まれてきてたから、カーライルだけ別扱いだったのかな?


「……龍人族が強力だから、別の種族に紛れ込ませやがったんじゃないですかね。サブラナ・マールめが」


 スティが、苦々しげな顔で推測を口にする。まあ、その辺りが妥当な点だろう。というか、奴ぐらいしかそんなことできないし。

 俺は魂砕いて別世界に流して、四天王たちは白いもや吹き込んで転生……あー、ものすごくムカつく。ムカつくだけじゃ飽き足らないけど、どう表現していいか分からない。

 ん、あ、四天王と言えば、一人のんびり別行動してるのがいるな。


「そうだ、レイダに手紙書いとくか。クァルードが復活したぞーって」

「ああ、いいですね」

「同僚の復活ですし、喜ぶんじゃないですかねえ」


 俺の提案に、カーライルが照れくさそうに、スティが楽しそうに同意してくれる。早速書いて、明日にでも燕に持ってってもらおう。あちらの方は、魚人や水棲獣人たちをどれくらい集めてくれているかな。


「……とはいえ、ついでにマール教も本気出してきそうですしね」

「あー」


 クァルード復活の場に居合わせたマール教信者共が、それを神都サブラナに伝えるのは時間の問題だ。龍王が復活し四天王が揃ったとなれば、当然向こうはこちらを潰しにかかってくるだろう。


「勝てると思うか」

「厳しいですね」


 俺の短い問いに、カーライルが代表して短く答えてくれた。予測どおりの答えを。

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