357.城に戻って一息を
途中からスティもシーラも抱え込み、カーライルは当日の夕方には北方城に到着していた。
「りゅ、龍人!?」
「りゅうじんさんがきたですー」
「かっこいいです!」
チュリシスやウサギ兄妹が、門の前に着陸したカーライルを見てびっくりしている。まあ、気持ちは分かるけどな。
というかミンミカ、アムレク、目がキラキラしているぞ。初めて見て感動しているとか、そういう感じか?
「お出迎えご苦労さん」
「はっ。コータ様、皆様、おかえりなさいませ!」
「コータちゃま、おかえりなさーい」
俺がカーライルから降りて声をかけると、チュリシスとミンミカは早速答えてくれた。おいアムレク、こっち見ろこっち。神様のお帰りだぞー……まあ龍の方がインパクト強いけど。
「おかえりなさい。りゅうじんさん、なかまにできたんですか」
「あー、いや、うーん……」
やっとこっちを見たアムレクの言葉に、素直に頷いて良いものか疑問に思う。仲間にしたというか、元から仲間だったやつが実は龍人族だったわけだしなあ。
ちょっと考えていたら、カーライル本人がにっと笑った。と、ぐにょんと龍の姿が歪んで、ほんの数秒後にはもともとのカーライルの姿に戻る。あ、服まで戻ってら。
「私ですよ。アムレク、ミンミカ」
『え?』
目の前で龍がカーライルになったことで、ウサギ兄妹はぽかんと口を開けたまま目をパチクリさせている。そりゃ、いきなりそんな事になったら驚くよな……と思ってた、直後。
「カーライルさんだー!」
「カーライルさん、りゅうじんだったですかー?」
「まあ、そういうことになりますか」
「えー? ええー?」
うん、二人して子供みたいに大喜びしてやがる。ここがまあ、この二人のいいところというか何というか。というか、可愛いなウサギたち。あと、びっくりしまくってるチュリシスも。
「おう、元に戻れるんだな」
「龍人族は、そもそも別の種族になりすませますから」
感心したように全身を眺めてるスティに、カーライルは苦笑しながら答える。なるほど、そういやそうだったっけな。
だから、龍人族はなかなか見つからないんだっけ。
「じゃあ、今のお前はクァルードがカーライルに化けてる、みたいなもんか」
「そうなりますかね。意識は連続していますから、どちらでもいいのですが」
「え、クァルード?」
スティが出した名前を聞きとがめて、チュリシスが目を丸くする。ネズミだからもともと丸い目だけどな。
カーライルが「はい、そうですよ」って当たり前のように答えてるのが、何とものどかだよな。
そして、ネズミとウサギが揃って腰を抜かす光景とか。




