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351.森の中からおやおやと

「よいしょ」


 そのままクルンゴサの周りを数度周回して、シーラは森の中に着地した。俺とカーライルを離してから、「大丈夫ですか?」と尋ねてくる。


「ん、大丈夫。下から撃たれたわけでもないし」

「弓矢持ちがいませんでしたね。……街を訪れるのが主任務にしても、数名連れておくものですが」

「もしくはしまいこんでた、かな」


 カーライルの言葉に、軽く推測する。いやいや、しまいこんでちゃ意味なくないか? とっさのときの遠距離武器だろうに。

 ま、向こうがそういう不手際やってるならこっちにとってはメリットだからいいか。ひとまず、スティと合流しよう。


「スティはこの先か」

「そうですね、こちらにまっすぐです。……血の匂いがします」


 シーラがふん、と軽く鼻を鳴らす。そういえば何となく、鉄のような匂いがするな。

 カーライルはその匂いが分からないようで、俺とシーラを見比べてから「そうなのですか」とシーラが示した方向に目をやった。


「バングデスタ様と争った結果なのであれば、全く関係ない相手なのか、別働隊がいたのか……ですね」

「ともかく、行こうか」

『はい』


 俺の言葉に、二人はあっさりと同時に頷いた。




 そこから……体感で一分ほどかな、歩いたところで転がっている骸に出くわした。それを除けようとしていた、スティと一緒に。


「あ、皆の衆」

「スティ。戦ったんだ」

「はい。襲われたもので」

「バングデスタ様に歯向かうのは、無謀としか言いようがありませんね」

「全くさ。あ、コータ様、御覧ください」


 特にカーライルの言葉に肩をすくめながら、スティは俺に言ってきた。

 教育部隊とよく似た武装の骸を、首根っこを掴んでひょいと持ち上げる。兜の下に見えたのは、男の顔だった。


「男?」

「ここで倒したのは全部そうです」


 へえ、男の部隊あったんだ。……教主に寝取られた女の相手とかじゃないだろうな、と何か変な想像をする。

 しかし、参ったな。男は吸いたくねえよ。


「マール教も、女だけじゃ手数に限界がありますからね」

「それで男性の部隊を作ったのですか……なるほど」

「こっちはハナから混成だしな」


 まあ、男の部隊があってもおかしくはない。言っても筋力や体力は男が上の部分があるしな。人間と獣人、鳥人、魚人でそれぞれ長所が違うように、男と女でも違うわけだし。

 と、ここでシーラが気になることを言ってきた。


「もしかしたら、コータ様のお力がバレているかもしれませんね。女性のみにしか使われないことも」

「ああ、それで男か……」


 今のアルニムア・マーダが男ではなく、女を下僕にしていることが分かったならあっちはそういう作戦で来そうだ。

 グレコロンに使ったけど、アレは緊急避難の面もあったからなあ。ノーカウントにしといてくれ。

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