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337.城の内外いろいろと

「さて」


 ざっと城内を見回った後、自室に戻る。人が増えて賑やかになった分、ちょいと風紀が乱れ始めてるかもしれないなとは思ったのでそれは後で突っ込んでおこう。

 今は、俺が留守にしていた間の状況の推移だ。


「きっちり報告を頼むぞ」

「はっ」


 基本的に、こういうことをやってくれるのはカーライルの役目だ。四天王たちやシーラはどちらかといえば肉体派だし、ウサギ兄妹に難しい話は無理だ。ファルンなら適役だけど、そもそもマール教なので……中立的な意見がほしいときには助かるけどな。

 で。


「食料ですが、サンディタウンより麓の町を経由して納入されております。ひとまずは三日分の備蓄が確保できましたが」

「今の人数で三日か。まだまだだな」

「はい。ですが、あまり急速に集めますと、物価も上がりますし」

「マール教に怪しまれるのは確実……か」


 ですよねー。

 備蓄ってことは保存できる食料、玄米とか固いパンとかアルコールとか干物とか、になるわけで。こっちの世界、缶詰も密封容器もないからな。

 そして、そういったものを一か所に買い集めたらそれは独占、ってことになる。結果他のところには回らなくなり、値段が上がり、そうしてマール教がおかしいなと思う。


「……いや、もう怪しまれてそうだけどな」

「はい。グレコロンより、教育部隊の数が増えたという報告も来ております」


 ですよねー、二回目。

 値段が上がってなくても、一つの家が買い漁ってたらそりゃ怪しいと思うだろ。とはいえグレコロンだし、他の家よりは甘く見てもらえるといいなあ……なんてのは楽観的すぎるかな。うまく抜け道使ってくれりゃいいけれど。


「攻め込んで来ないかな」

「城に来るまでの道が狭いですからな。上空も風が強いことが多いから、獣人も鳥人も数で攻め寄せることはできませんよ」


 ふと呟いた俺の疑問に答えてくれたのは、もともとここを使ってたスティだった。ああなるほど、そういやこの城って来るのめんどくさいもんな。そういう防御上の理由もあったか。

 ただ、道が狭くて外と出入りしにくいということは、デメリットでもあるんだよな。


「そのかわり、兵糧攻めも簡単ってことだな。備蓄は多めに取っておきたいなあ」

「温暖な地方なら、城の中で畑でも耕すんですが……この城では無理ですね」

「無理だな」

「無茶言わないでください。土地も痩せてますし、気温が低いですから植物なんて薪になる方が先です」


 思わずスティと頷き合ったところで、カーライルからのツッコミが入った。そっか、先々の飯の前に目の前の寒さを凌ぐ、か。

 やっぱり、あちこちから飯を買い入れないと駄目だな。グレコロン以外にも、仕入先考えておかないと。

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