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335.城に戻るとヘタレがヘタレ

「コータ様! お帰りなさいませっ!」

「お、おう」


 城に戻った瞬間、カーライルがすっ飛んできた。何そのボサボサ髪と目の下のクマ、仕事頑張って寝てませんって社畜風な感じ出してるんじゃない。前の世界思い出すだろうが。


「お帰りなさいませ、コータ様」

「ただいま、シーラ」

「コータちゃまー、おかえりなさいですー」

「おう、ただいまミンミカ。いい子にしてたかー」

「もちろんです!」


 シーラの方は普通に出迎えてくれて、ちょっと安心した。飛びついて頬ずりふにふにしてくるミンミカはこれが普通だから、ものすごく安心した。

 ミンミカが落ち着いたところで、シーラが大きくため息を付いた。あ、何かあったかな、これは。


「よくお戻りくださいました。あと数日遅かったら、カーライルめはコータ様のお戻りを祈願して裸踊りなどしていたやもしれません」


 はだかおどり。思わず脳内で棒読みする。

 いや、俺そんなもん見せられても嬉しくもなんともないんだけど……あ。


「……もしかして、昔の俺はそれを喜んでいたのか?」

「はあ、実は……」

「……昔は男好きだったそうだしな……」


 やっぱりかー。もともとのアルニムア・マーダは、男から精気吸ってたっていうしな。カーライルって残念だけどイケメンだし、多分身体もそれなりに引き締めてるだろうし。

 それならきっと、昔の俺なら喜んだかもなあ。何と言うか、遠い目になってしまう。

 で、その当事者になりかけていた徹夜明けへろへろとしか見えない残念イケメンに、俺は怒鳴りつけることにする。シャキッとしやがれ俺の神官。


「俺と一か月も離れてないだろうが! 俺の神官ならもっとしっかりしろ、馬鹿」

「は、はいっ! まっこと失礼いたしました!」


 一応一か月は三十日、くらいでほんとにカレンダーがほとんど変わらないのはありがたい。それはそれとして、しっかり怒るとそれなりにカーライルはしゃきんと立ち直ってくれた。

 案外、俺が帰ってきたからかもしれないけれど。


「こほん。コータ様、西の村はいかがでしたか」

「いい村だったよ。ただ場所にもよるし、バッティロスは洞窟が住居地だからあれだけど湿度高いのな」

「ですから、コウモリ獣人には住みやすい地域なんですよ。今回の彼らは果実や野菜が主食だったようですが、小型の獣を主食とする種族もおりますし」


 シーラに尋ねられて素直に答えると、彼女は満足げに頷いてから教えてくれた。そうか、コウモリでも草食と肉食とあるんだな。ミンミカみたいな草食と、スティみたいな肉食と。そりゃまあ、いるか。


「あー。確かに、草木が育ちやすくて結果、獣増えそうだもんなあ」

「そういうことですね」


 それと、植物が育ちやすければ当然、草食の獣……獣人じゃなくて獣、が増える。そうしたらそれを食べる肉食系……獣も獣人もそりゃ、それなりに住みやすいだろうなあ。

 と、カーライルがおずおずと口を挟んできた。


「あ、あのコータ様、コウモリ獣人の協力は得られそうですか?」

「そっちは大丈夫。スティがちゃんと獣王として行ったから」

「それは良かった。王が戻ったので、その配下に収まってくれたのですね」

「バングデスタさま、けもののおうさまだからコウモリさんもなかまになってくれたですね!」


 シーラが胸をなでおろし、ミンミカが喜んで飛び跳ねる。まあ、仲間が増えたのは良かったよな、と思う。

 そうしてカーライルも。


「コータ様、新しい配下が増えて大変良かったですね」

「まあな」


 ものすごく嬉しそうな顔をした。ボサボサ髪とクマさえなけりゃ、結構輝く感じのイケメンなんだけどなあ、お前。

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