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331.罪と罰の後始末

 そうして、夜が明けた。

 スティとファルンの掛け合い説教が功を奏し、ガレラが村人から袋叩きにされるのは免れた模様。そのまま、彼らの村まで二人が送り届けて、顛末を報告してくれたのは昼前になった頃だった。まあ、考えてみりゃ夜襲掛けられるくらいには近距離だったんだよな、向こうの村。

 ちなみに俺たちは、結局ダルシアの家に世話になった。彼女、親御さんが早くにいなくなって一人暮らしなんだとさ。「ですから、寝る場所はいっぱいありますよー」って喜んでたな。確かに、身体の大きなスティも余裕で寝られたけど。……虎というか大きな猫だから、丸くなって寝てたけどな。


「ひとまずガレラは謹慎、か」

「追って、神都サブラナより沙汰が下されるようですわね。それまでは、衛兵隊のもとで謹慎生活を送るとか」


 ダルシアの家はともかく、教会絡みなんでいろいろ話を聞けたらしいファルンが、苦笑を浮かべつつ話してくれる。うんまあ、マール教の中枢がどういう処分を下すのかは知らないけれど。


「何で衛兵隊なんだ?」

「教会に置いとくと、そこの村人たちにフルボッコになるからじゃないですかねえ」

「悪行を善行だと吹聴しましたものね。敬虔なる信者の方々にしてみれば、悪以外の何者でもありませんから」

「あー、保護してもらってるのか」


 なるほど、そりゃ納得した。

 ゆうべはスティが吠えたせいもあり、双方の村人が恐縮してしまって手を出すところまでは行かなかった。だけど、スティみたいな抑止力がいなくなるとそりゃもう、怒りの持って行きどころがガレラになることは目に見えてるからな。


「んで、今は」

「被害額の大雑把な算出をしてるところだそうです。衛兵隊に勧められて、先方に賠償請求するそうで」

「出来上がったところでわたくしが確認して、それから衛兵隊を通じて提出ですわね」


 ああ、その辺はガッチリしてるのな。ま、バッティロス側としては自分たちの食い扶持なわけで、そりゃ賠償してもらうべきだよな。うん。


「じゃあ、そっちは任せる。頼むよ、ファルン」

「お任せくださいませ。村の民に関しましては、スティさんもお願いいたしますわ」

「ああ。コータ様をあまり表に立たせるわけには行かないからな」


 というわけで、バッティロス村の問題は何とか解決したようだ。後は、村人たちからの協力を取り付けるだけで。

 で、俺はもう一つ。


「さて、落ち着いたところで……いいのか? ダルシア」

「はい!」


 俺の横にちょこんと座っている、ダルシアに向き直る。

 いやね、彼女からどうしても、なんて言われててさ。


「お礼の一つとして、ぜひコータ様に私の精気を差し上げたく」

「うんまあ、それはこっちも願ったり叶ったりなんだけど」


 これは役得というか何と言うか、なんだけど。特に不足はしてないけど、多めにもらっても問題はないみたいだし。

 しかし、相手側からこんなふうに言われるのはほんと、珍しい話だよな。


「村の窮地をお救いいただいたのですから、これでも足りないくらいなんですが!」

「いや、バッティロスの村が俺たちに協力してくれるっていうだけで十分なんだけどね」


 コウモリ獣人。スティやルッタが言っていた通り、夜行性で空を飛べるとってもありがたい獣人種族である。

 その彼らの協力を取り付けられることができれば、俺たちは主に情報戦でかなり強くなれる。なお、ガチの戦闘は今のところ考えてない。まだまだ、俺たちがマール教に勝てる目はないからだ。

 それはともかく、据え膳食わぬは邪神の恥である。スティもほらやれはよやれ、という目をしながらファルンと一緒に離れて行ったし。


「でもまあ、もらえるものはありがたくもらうよ。いただきます」

「どうぞ! ……んっ」


 そんなわけで、お昼ご飯はダルシアといこうか。

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