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032.起きたら大変怒られた

 目が覚めた。


「……こーたさま、おきまひた?」

「あーうん、起きた……」


 目の前にあったのはウサギ娘のどアップ。……って、ええええっ!?


「……っ!」


 いや、さすがに叫ばなかったけど跳ね起きた。ベッドはこっちの部屋に二つほどあるはずなんだが、俺を真ん中にしてミンミカ、ファルン、シーラが固まって寝てるとかどんだけだ。全員寝間着なのはほっとしたけど。

 というか、ナーリアでは普通に一人ひとり別に寝てただろうが、お前ら。何やってんだ。


「とりあえず起きろー!」


 事情聴取のため、全員ベッドから蹴り出した。羽が邪魔で動かないシーラだけは、頑張って押し出したけどな。


「お目覚めですか、コータ様……ええと」

「あーちょうどいい。カーライル、お前も話を聞いてくれ」


 男なので隣で休んでたカーライルは、何やってんだお前らと言いたげな呆れ顔だった。そりゃ多分、今の俺の顔だよ。




「だって、ミンミカ、コータさまのげぼくです。だきまくらでもなんでも、するですよ」

「ミンミカさんにだけ、コータ様を任せておくわけには参りませんもの」

「自分には、コータ様をお守りするという重要な任務があります」


 目の前でしゅんとしながら正座している三名それぞれの言い分は、いまいち言い訳になっていなかった。要はお前ら、俺の取り合いしてたとか言うか。


「だからといって、そうほいほいコータ様と同衾などとはおこがましいですね。自分たちが何であるのか、今一度思い出していただきたく」

「うぐ」


 腕組んで俺の斜め後ろに仁王立ちしてるカーライルは、眉間にシワ寄せて青筋バリバリである。この残念イケメン、すっかり俺の保護者と化してるのはこういう時に助かるな。


「シーラ殿。翼の分、御身は重うございます。もしその重みのせいで、ベッドが壊れたらどうなさいますか? 余計なトラブルを起こしてしまって、コータ様の正体がバレることにでもなったら大変ですよ」

「すまん……申し訳ありません、コータ様」


 シーラの羽、ルシーラットに戻ったときに大きくなったんだが中に骨もあるし筋肉も付いてるし、だからその分重いんだよね。べきっといったらどうするんだよ、俺潰れるかもしれないだろうが。


「ファルン。マール教の教義では、男であれ女であれみだりに他人と同衾することは避けよと言われているかと。あなたがコータ様の下僕であることを、他のマール教信者に悟られては困るんです」

「た、確かに……」


 あ、そうなんだ。まあ、マール教の僧侶って偉くなるには教主とベッドで一戦、とかいう連中だもんな。その前にうっかり別の誰かさんとあれそれ、なんてことはまずいわけだ。


「ミンミカ。コータ様がもし、一緒に休みたいとおっしゃったのであれば文句は言わない。だから、そこはちゃんとお伺いを立てるべきだな?」

「……はい、です」


 そうそう、そこ重要。俺が一緒に寝る、っつーたんなら文句言わないし床に正座させてお説教なんてことにもならない。アルニムア・マーダは平気で男引きずり込んでたのかもしれないけど、俺はそうじゃないからな。


「だいたい、三人も一緒に寝たらコータ様が潰されてしまうだろうが。コータ様のお身体はこんなに華奢なのだから」

『ごめんなさい!』


 カーライル、俺の保護者じゃなくて俺たちの保護者か、もしかして?

 ある意味、一番常識的なものの考え方してるみたいだからなあ。マーダ教の神官だってのは置いといても……ああ、逆にそうだから、マール教の影響がなくてフラットなんだ。ファルンが、俺の下僕になった後でもマール教の影響があるけれど、それとは逆に。


 とか何とか、難しいことを考えている俺の前で。


「コータさま、おさむいときはミンミカ、いっしょにねますよ」

「コータ様には、夜の寝物語としてマール教のやり口をお教えしたく」

「……自分は、昔は添い寝などできませんでした。この機会に是非!」


 お前ら、曲がりなりにも邪神に添い寝要請はどうかと思うぞ? カーライルが頭抱えるの、分かるわ。うん。

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