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325.いきなりはちと無理がある

「あ、あの……?」


 ダルシアがおろおろするのはしょうがない。俺の正体黙ってろ、って言った俺自身が名乗る格好になってるからな。

 ただまあ、こいつらが俺の信者なのは問題ないようだし。そろそろマール教にもバレてるだろうから、いまさらってやつだ。


「アルニムア・マーダの魂の欠片、コータだ。先の戦でサブラナ・マールにこういう姿にされた、と言えばいいか」

「まさか……」


 おばちゃんがぽかーん、と目を見張っている。ベルーテはほんの数秒俺を見て、そこから膝をついた。あ、何か理解されたっぽい。


「わたくしはマール教の僧侶ですけれど、同時にコータ様の下僕でもありますわ。ですからこうやって、この村の問題を解決しようとお供した次第ですの」


 そうして、ファルンがこちら側に付き従っている理由を述べた。要は、俺に支配されてる立場だからこちら側に従うのは当然……うん、俺のやってることってわかりやすく邪神だよなあ。……サブラナ・マールもこっちのこと、言えないと思うけどさ。

 ぼさっとそんな事を考えてたら、目の前で顔をひきつらせていたおっさんが、急に笑い声を上げた。


「ははははは! さすがにそれはあるまいて!」

「ゾルド!」


 ベルーテが慌てて振り返り、たしなめる。ゾルドっていうんだな、おっさんは。

 で、そのゾルドは俺をあざ笑うような目で見て、それから全員を見渡して、楽しそうに叫んだ。


「だってそうでしょう、村長! バングデスタ様が復活召されただけでも奇跡に近いことであるのに、よもやアルニムア・マーダ様まで復活されるなんて、そんな幸運がやってくるわけがない!」

「貴様!」

「スティ、いいから」


 がう、という唸り声が一瞬聞こえたように思えて、俺は足を一歩踏み出したスティを手で抑える。いや、ここでお前が暴れたらマール教以外の原因でバッティロスの村が壊滅するから。


「いや、しかし」

「俺にしてみれば、今までお前らが当然のように信じてくれたことのほうが意外だよ。普通はああやって、疑うもんだ」

「……」


 それに、今ぶっちゃけたのが本音なんだよな。ほんとお前ら、ほいほい信じ込みやがって。お前なんて我らが神じゃないーとか、普通はそういう感じで疑ってかかるもんじゃないのかねえ?

 まあ、スティもそうだけど本来の姿に戻したって一点があるからな。俺はそれを、証拠としてコウモリたちに提示する。


「だけど、『剣の翼』ルシーラットやアルタイラ、ネレイデシアにバングデスタを復活させたのは間違いなくこの俺だ。そうでなければ彼女たちも、これまで通りマール教の下僕のままで何度も生まれ変わっていたさ」

「そうなんですか?」

「それは間違いない。この俺が獣王バングデスタとして蘇ったのは、コータ様のお力によるものだ」


 今までじっとこちらを観察していたおばちゃんの問いには、スティが断言で答えてくれる。さすがにその言葉にはゾルドも「うっ」と数歩引いた。

 あとスティ、相手あんまり強くないんだから睨んでやるな。だいたいベルーテとおばちゃんは悪くないし、ゾルドだっていきなり言われて信用できないだけなんだぞ。さすがにかわいそうだろうが。

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