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318.新顔と地味な問題

 ひとまず、空いてた客室の一つに移したコウモリ少女の手当はファルンがしてくれた。というか。


「大丈夫、大した怪我もしていませんわ。疲労で昏倒されただけですわね」

「そうか。そりゃ良かった」


 まあそういうことらしい。服がぼろぼろなのは、どうやら遠くから着の身着のままでここまでやってきたから、のようだ。そりゃ、さっきみたいな突風とか森の中とか抜けてきたんなら、そうなるか。


「要するに今は疲れて眠っているだけですから、起きたら軽く食事でもとってもらえればすぐ元気になります」

「分かった。朝飯食うときに、ついでに手配しとくよ。疲れて寝てるなら、目が覚めたらまず腹減った、だろうしなあ」

「いきなりたくさん食べたら大変でしょうから、まずはスープからでしょうか」

「だな」


 ファルンがそう言ってくれたので、手配は俺がすることに決めた。不法侵入……まあ、法がどうかはともかく、主の許しも得ずに入ってきたこの彼女のことだから、俺がかばってやらないとな。

 状況がまだよく分からないけれど、彼女が頑張ってここまで来たのははっきりしてる。そのせいで疲れて、寝てるだけで。

 さて、ひとまずは。


「ありがとうな、ファルン」

「いえいえ、わたくしの手に負えるレベルでよかったですわ。怪我や病がひどければ、村に下ろすしかありませんもの」

「常駐の医者、いないもんなあ」


 実は北方城、まだまだ問題を抱えている。そのうちの一つが、医者がいないってことなんだよね。最寄りの村にはちゃんといてるから、怪我や病気のときはそっちまで連れてって見てもらうことになっている、んだけど。

 結構人が増えてきたから、マーダ教の信者のお医者さんがいれば来てほしいんだけどね……おおっぴらに探せないからな。


「しばらく、わたくしが様子を見ておりますわ」

「いいのか?」

「お食事まだでしょう? コータ様を空腹でひっくり返らせるなんてことになったらわたくし、処刑では済みませんわ」

「……ファルンの安全のためにも、急いで食ってくる」

「よろしくお願いしますねー」


 うん、よろしくお願いされる。俺、一応神様だしそうそう空腹でぶっ倒れるなんてことはないと思うけど……カーライルとかシーラとか四天王とかが過保護だから、変に暴走しかねないし。

 カーライルといえばあいつ、スティとルッタ呼んできてくれたかな。あの二人に話聞かないと、この世界についてまだまだ無知な俺だけじゃ判断できないし。




 そんなわけで、当の二人と一緒に飯を食いつつ、コウモリ少女の話を振ってみた。ちゃんとカーライル、ある程度の話をつけてくれてたらしい。


「コウモリ獣人ですね。俺の管轄になります」


 で、スティはあっさり彼女のことをそう言った。熊肉の煮物をもりもりと食いながら、ちょっと楽しそうに答えてくれる。


「空を飛べるってのは、獣人族の中でもほんと数少ないですからね。偵察とか便利ですし」

「あまり音しない上に夜行性ですからね。他にはそういう特性ってフクロウの種族くらいしかいないんで、うちもほしいんですが」

「なるほど。どっちでも何とかなりそうか」


 ルッタが少し羨ましそうな顔をしてるのが、何というか印象に残った。

 俺の知ってるコウモリのおとぎ話ってのは鳥と獣の間でふらふらしまわった挙げ句、どっちからも仲間はずれにされたって話なんだけどなあ。こっちだと、お互いが希少スキルを求めて仲間に入れたがってるっていう、いわば逆パターンなわけか。


「で、彼女たちはどこらへんに多いんだ?」

「西のほうです。あちらには鍾乳洞が多くて、その中に村を作っていますね」

「鍾乳洞の中かあ」


 俺の知ってるコウモリと、そんなに生態は変わらないようだ。……やっぱり天井からぶら下がって寝てたりするのかね?


「雨が多い地方ですが、そのおかげで農作が盛んです。彼らの主食は果実や野菜でして、自分たちで畑作をして出荷もしています」

「ふむ」


 そうなんだ。じゃあ草食系で、温厚な感じなのかね。

 しかし、また新しい種族が出てきたなあ。配下にできたら、結構便利かもしれないな。

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