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305.無理をするなよチンピラさん

 獣人用の丈夫なベッドがある部屋を割り当ててもらった俺たちは、早速飯を食いに向かいの居酒屋に入った。

 前回はまあまあおとなしめなメンバーだったんでそうでもなかったんだけど、今回は四天王二人だからなあ。


「ほんとに、ここの酒は美味いねえ」

「地人族が酒にうるさい、なるほどだな」

「……ははは」


 がっつり、おっさんが入った仕様で飲み会と化していた。いや、ちゃんと食事もとってるけど。

 というより、俺が外見上獣人ロリっ子だしな。実質的に成人してるのか否かはわからないけど、もともとのアルニムア・マーダが肉感系美女らしいことを考えると多分子供、だろうし。

 ルッタもスティも同様のことを考えていたらしく、俺にはソフトドリンクを頼んでくれた。


「さすがに、コータちゃんに飲ませるわけにはいかないのが残念ですが」

「まあ、酒の味が分かるとは思えないですし。ご飯は美味しいからいいです」

「食事はしっかりとらないと、活動できませんからな」


 ルッタは平然と野菜炒めをかき込み、スティはさすがに肉食だから鶏の丸焼きをがっつりといく。醤油じゃないんだけど、それに似た感じのいい匂いでほんと、食が進むわ。

 パンは硬いけれど、干し肉で出汁をとったスープに浸して食べれば問題ない。クリーム煮にされた根菜だって、どうやら岩塩で味付けされてるらしくもりもり食える。

 そのうちに、飲んでいたジュースがなくなった。ああ、おかわりもらいに行くか。


「ジュースのおかわり、もらってきますー」

「あ、じゃあ私がついていきますよ」

「一人で行けるって。大丈夫」


 ルッタが気を使ってくれたけど、店の中だし大丈夫だろ。何かあったらすぐ、二人共飛んでこられるし……うん。

 さすがに、ジュースのあるカウンター前でチンピラさんに絡まれるとは思ってなかったけどさ。


「お嬢ちゃん、大人のお店で何してるのかな」

「おかわりをもらおうと思いました」

「おかわりなら、俺がおごってやるよ。そのかわり」

「ほう、おごってくれるのか。ありがたいな」


 スティが速攻で来てくれるくらい俺たちのテーブルから近いから、いくらなんでも保護者がいないとは思ってなかっただろうに。このわかりやすい人間のお兄さん、樽一つくらいでこの二人が酔いつぶれるとでも思ってたんだろうか。

 馬鹿だろ。明言しないけど、俺の四天王だぞ。


「え、あ」

「うちの可愛いコータちゃんに何してるんだコラ」


 人前なのでちゃん付けで呼ぶように、とは言っておいたんだけど。こういう状況で使われるとあれだな……ヤクザの孫娘ガードする若頭とか、そんな感じ。

 ま、ありがたく甘えさせてもらうけどさ。


「スティお姉ちゃん!」

「大丈夫だからな。俺も連れもいることだし」


 よいしょ、とその腕に座って抱き上げられる。よし、これでチンピラお兄さんより視線が上になったので、ロリっ子ならではの無邪気な笑顔を作ってやろう。


「お財布はお姉ちゃんたちが持っているので、大丈夫です。ありがとう」

「……は、はい」


 ふふふ、殺る気満々の虎姉御を背景にしたロリっ子の無邪気な笑顔は怖いだろ。お兄さん、ガクガク震えておられるもんな。

 ちなみにルッタだけど、スティのさらに背後でお兄さんにガン付けしてやがった。二段重ね……あーあ、お兄さんかわいそー。


「次やったら、財布の中身が借用書で満タンになるくらい食って飲むぞ」

「も、もうしわけ、ありません……」


 ……スティ、飲んでもいいけど程々にしろよ。今は外出中だからともかく、城の倉庫とかお前らの酒で満タンにはできないからな。

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