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303.簡単なのは泊まる先

 さて。

 二人してうううとうなりながら商品とにらめっこした結果スティはダークブラウン、ルッタは赤紫のサッシュを選んだ。二人して地味めな色使いだな、でも似合うけどさ。


「よくお似合いですけど、そういった色が好きなんですか?」

「まあ、好みもありますが」


 何となく聞いてみたんだけど、スティが少し言いづらそうに視線をそらしながら答えてくれた。……あ、いや、もしかして照れてるのかお前ら、と一瞬後に気がついたけど。耳と尻尾がな、所在なさげにふらふらしてたんだよ。


「普段使いしたいので、このくらいの色が良いのです」

「私たちがあまり派手な色を選んでも、かえって使いづらいんですよね……」

「そりゃ、色の好みはそれぞれだからね。毎度あり」

「はあい」


 奥さんはこういうのには慣れているらしく、平然とお勘定してくれた。

 一応各自、お小遣いというかそういうのは持ってるんだよね。何かあった時、金が物を言うことも多いから。今みたいにさ。

 と、ふと奥さんが俺たちに尋ねてきた。


「そういえば、お宿どうすんだい? 持ってきた奴の加工、一日や二日じゃ終わんないだろ」

「あー」


 おっと、うっかりしてたぜ。まさか、こんなことになるなんて思ってなかったしなあ。

 確かに、シーラの剣でも七日か、かかってたしな。逆鱗の加工となるとどれくらいかかるんだか、想像つかないや。

 とはいえここは二度目だし、幸い前来たときに地人の合法ロリ僧侶吸ってるし何とかなるだろ。……よし。


「前に来たときに、ここの僧侶さんと仲良くなったんです。そっちにお願いしてみようかな、って思ってます」

「なるほど。相変わらず、教会の宿泊所は暇してるみたいだからね。値段も安いし、長居できるからそうしときなさいな」

「はーい」


 あんまり嘘は言ってないし、これで奥さんも納得してくれたからよし。あの僧侶なら、俺の言うことに逆らいはしないだろう。駄目なら、もういっぺん吸って吹き込むだけだからな。

 前に来たときも、俺たちくらいしか宿泊客いなかったもんなあ。他のお客さん、サービス充実してる別の宿とかに泊まってるんだろうな。どのくらいサービスの質、そして値段が違うのかはさておいて。

 と、横からルッタが腰をかがめてきた。はて、何かあるのか?


「教会って、マール教ですよね。大丈夫なのですか」


 ルッタ、俺と高さを合わせてひそっと耳打ちしてきた。スティは立ったまま、聞き耳を立てている。……うむ、お前ら事情知らないもんな。


「大丈夫。前に来たときに、ここの僧侶を俺の下僕にしてある」

「おお、なるほど」

「それならば、大丈夫ですね……俺が寝られる寝床があるか、ちょっと心配ですが」


 事情を説明したらルッタはほっと胸をなでおろして、スティは違うところの心配をしていた。

 そうだな、お前でっかいからなあ。ただ、こういう村だと大柄な客なんて珍しくもないだろうし、大丈夫じゃないかな、とは思うんだけど。

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