301.お久しぶりのお二方
「いやあ、お嬢ちゃんに虎のお知り合いがいたなんてなあ」
「猫の鍛冶職人というのは珍しいな」
「まだなんもいじらせてもらえねっすけどね」
「先に期待しておくぞ」
ぱったんぱったん、と太細二本の猫科の尻尾が機嫌良さげに振られている。
太い方はスティので、細い方はお久しぶり、のドートンさんだ。ガイザスさんとこのお弟子さん。
虎とトラ猫だからもう、よく似た模様だよ。スティのほうが身体つきとか大きめだけど。
「一応、同族なのですね」
「仲良しさんなので、いいんじゃないですか?」
久しぶりのドンガタ村を、ドートンさんに案内されて奥さんのお店まで行く途中である。
相変わらず旅行者が多いので、俺はルッタに抱っこされているんだよな。これもまたしっかりしたよいおっぱい、ロリっ子になってよかったと思える瞬間だ。
お店は、女性メインのお客さんがちらほら出入りしている。まあもう夕方なので、そろそろ食事に行ってる人が多いんだろうな。
で、店の前まで来たところで俺はルッタから降りて、ドートンさんと一緒に入店した。後ろから、ルッタとスティが物珍しそうに店内を見ながら入ってくる。
「おかみさーん。前に来たコータ嬢ちゃん、来ましたよー」
「あらー、元気そうで何より!」
「お久しぶりですー」
こちらも相変わらず、そうで何より。あれから変な客来たりしてないだろうな。まあ、ガイザスさんがぶっ飛ばして衛兵に引き渡すだけだけど。
で、スティとルッタ、大柄な虎と鳥にも奥さんは驚かない。このくらいのお客さんも、時々来たりするんだろうな。ここ、武器の村だし。
「お姉さんたち、うちは初めてだねえ。良いもんあるから、見てっておくれよ」
「ああ、ありがとう。見させてもらうよ、ほらルッタも」
「ありがとうございます。拝見します」
ものすごく縮こまった感じで、ルッタが頭を下げる。でもすぐに棚の品物を見て目を輝かせるあたりは、何かシーラと似てるよなあと思った。
……大雑把に鳥、と言ってもカラスとか入ってるのかもしれないな。光り物とか好きっぽいし。
と、奥さんが「あ、そうそう」と俺に声をかけてきた。
「いい染料が見つかってね、サッシュも新色が出たんだよ。よかったら見ておくれ」
「やった!」
サッシュベルト。前にこの村に来たときに、その時の皆にそれぞれに合う色のやつを買い揃えた、あれ。
そうか、新色が出たならちょうどいい。スティとルッタは前回来てないから、サッシュも持ってないよな。
「選んでプレゼントしますよ、スティお姉ちゃん、ルッタお姉ちゃん」
『え゛っ……あ、ありがとうございます!』
そう思って提案したら、二人は揃って目を丸くした。そうしてがばっと頭を下げる。いや、いいから。怪しいだろロリっ子に頭下げるお姉さん二人って。大丈夫かこの二人、一応俺の四天王だろうが。
ま、何か嬉しそうだからいいか。見事に御礼の言葉までハモってるし。




