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286.彼女に決めたその理由

「東方砦ですか。数度訪れたことがございますので、一応場所は覚えておりますが」


 翌朝、俺はルッタを呼んだ。いろいろ考えて、東方砦の確認には彼女がいいなという結論に達したからだ。あ、一応カーライルにも確認は取ってあるし、今ここにいてくれてるスティやシーラにも伝えて大丈夫だろう、とは言われてる。


「本当ならクァルードやその配下に行ってもらったほうがいいんだけどな、一人もいないから」

「しかし、砦本体であればともかく、入り口になる砦であればルシーラットも行ったことがございますが」


 自分の配下であるシーラの名前を出して、ルッタは俺に問う。何で自分が派遣されるのか、だよなあ。

 しかも今、ルッタは指名手配されてる身だし。ま、それはうまく逃げるだろうと楽観的に考えてるんだけどさ。


「クァルード本人がいる可能性は薄いが、その配下たちがいるかもしれん。その場合、アルタイラとして名と顔を知られたお前が訪問したほうが、彼らには話が通じるだろうからな」


 と、俺の代わりにスティが理由を話してくれる。同じ四天王だからタメ口で話せる、ってのは結構利点だよな。声可愛いけど。

 そして、ぶっちゃけクァルードの配下と面識ある可能性を鑑みての人選なわけよ。それはスティも同じことだし、今ここにはいないけどレイダもなんだけど、さ。


「そういうこと。山の中だからレイダは厳しいだろうし、スティは……」

「俺はこのガタイなんで、単なる獣人としてでも目立ちますよ」


 ですよねー。

 大柄ボディの虎姉ちゃんが山の中うろついてたら、俺でもいろんな意味で警戒するわ。


「アルタイラも顔が割れてるから見つかったらやばいけど、空を飛べばそもそも見つかる可能性が低くなる、と言うわけだ」

「それで自分か……なるほど」

「そういうわけで。頼んだぞ、ルッタ」

「そういうことであるのでしたら、このアルタイラにお任せくださいませ」


 よし、ルッタも納得してくれた。

 というわけで、早速行ってもらうことにしよう。その前に。


「ルッタ。これ持っていってくれ」

「は。……お手紙ですか」

「うん。もしクァルードやその配下がいたら、これを渡してほしい。俺から、砦を使いたいってことと配下に入ってくれないかって書いておいた」

「何と恐れ多い……承知いたしました」


 渡した手紙に、深々と頭を垂れられた。いや、一応使ってる人たちに頼むのは当たり前だろ……と思って、そもそも俺がそいつらの上役になるんだということを思い出す。でも、一方的に使うからなって言うのもアレだしな。

 その手紙を胸元にしまい込み、ルッタはキリッとした顔で俺に声をかけてきた。


「では、行ってまいります」

「無理しないで、まずいと思ったら中断してすぐ帰ってこい。俺にはお前のような実力のある配下が必要なんだ」

「はっ。お気遣いありがとうございます!」


 あれ、何か顔が明るくなったぞ。いやまあ、やる気が出たんならいいけどさ。

 で、そのまま勢いよく出ていってしまったけど、大丈夫かなあ。


「シーラ、出発の準備手伝ってやって」

「承知しました。アルタイラ様、お待ち下さいっ!」


 直属の配下をお手伝いに送り出してから、俺は何となくそこに残ったスティに視線を向けた。尻尾がぱったん、と一回だけ振られたのは呆れてるのかね、これは。


「……調子に乗せちゃった?」

「実力のある配下、と明言なさってますから、その方向で調子に乗られたのではないかと」

「あ、そっか」


 スティ、きっぱり言ってくれてありがとう。そうか、そういうのでも調子に乗るのかあ。

 いや、さすがにお前が必要だなんつったらどういう誤解されるか分かったもんじゃねえし、だからそこははっきり入れておいたんだけど。

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