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285.実際問題そんな感じ

 かつて俺たちも行ったことのある、東の山の奥にある砦。そこが、実は龍王クァルードの治めていた東方砦の入り口。

 まあ、古すぎるわ山奥だわで分からなかったのはしょうがないし、四天王の中でやつだけまだ復活してないから場所教えてもらえないし、それに。


「それに、龍人族は引きこもりだったり他の種族に化けられたりしますからね。余計に分かりにくくなります」

「なんだよね……」


 ミンミカと一緒に読んだ絵本に描いてあったのは、マジ話ということのようだ。ただでさえ見かけなくなった龍人族が、実は他の種族に化けられる。だから、余計に見当たらない。


「……じゃあ、その砦に龍人族がまだ残ってる可能性、ないか?」

「………………ない、とは言い切れません」


 カーライルが、小さくため息をつきながら頷いてくれた。ま、そのくらいは考えてるよな、お前も。

 他種族に紛れ込めるわもともと引きこもりの気があるわ、な以上、龍人族の誰かが少なくとも番人してる可能性はある。龍だけあって、俺たちとも寿命は違うだろうし。


「ただ、表にあった砦を盗賊たちが占拠していましたから。そのときにいなくなった可能性はあります」

「ん、でも調べてみる必要はあるな」


 アンディスたち、あの砦を結構長いこと使ってたみたいだしな。とにかく調査の必要はあり、と。何か証拠でもありゃいいんだけど……あれ、たしかあの砦。


「あの砦の盗賊は、全部衛兵に引き渡した後か」

「そうですね。ただあの後、捕虜の女性たちを保護するのに衛兵が入っているはずです」

「つーと、今でも定期的に見回りに来てるかもしれないな」


 ついでにガサ入れ済みだな。そうすると、表の砦に何か残ってる可能性は低いか……それで残ってたらゴミか、もしくはガサ入れした連中にはわからない重要証拠だけどさ。


「俺が見に行ってもいいけど」

「駄目です」


 何となく思いついたセリフを言ったら、即座に却下された。一応一番の偉いさんだし、最近とんと使ってないイヤボーン衝撃波もあるしで大丈夫だと思うんだけど、別のところにカーライルが却下する理由があった。


「コータ様のようなお小さい方が山の中に入るなど、旅などの目的がなければ怪し過ぎます」

「……そうか。あの砦、近くに観光地ないっけ……」


 黒髪&銀髪角つき褐色肌ロリっ子が、観光地でもない山の中をうろうろしてたらそりゃ怪しいわ。保護者がいたところで怪しいのは変わりないし、うん。


「観光地のような人の出入りの多いところに、盗賊が本拠地など置いたりしません。特にああいう、女さらって売り飛ばすような集団は」

「だよねー」


 ははは、きっぱり言われた。

 商品の女が逃げ出したり、それで衛兵にバレて突入確保、とかやられたらたまったもんじゃないからなあ。

 だからアンディスたちは、山奥の砦に女たちを捕らえてて必要に応じて『出荷』してたんだ。あーむかつく。

 ……あー、そうか。


「街には出やすいけど、人が来ない山奥。そりゃ、盗賊団もマーダ教もアジト置くよな」

「……クァルード様、盗賊団と同じ扱いですか……」

「今のマール教からしたら、どっちも似たようなもんだろ。その場合、俺が盗賊の頭だけど」

「はあ……」


 いやカーライル、困った顔されてもなあ。

 実際、今の世界での俺達の扱いなんてそんなもんだぞ、なあ?

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