284.四方にあった拠点たち
コングラが「また仕事行ってくるっす」と楽しそうに退室するのと入れ替わりに、カーライルがやってきた。書類持ってるから、俺への報告があるんだろね。
で。
「あまり、殿方と二人きりになるのはどうかと思うのですが」
「……気をつける。けどまあ、コングラだしな」
「コングラだから、と許されるのもどうかと」
何か怒られた。いかんなあ、たまに自分が外見ロリっ子なの忘れるよ。甘いの食って喜んでるのにな……身体に慣れてきてるからだろうな、うん。
今後はせめて、ミンミカ辺りに一緒にいてもらうか。シーラとかスティとか、考えてみると取っ替え引っ替えできるのか、邪神の特権てやつか。すごいな、俺。
「拠点に関しての報告があります」
「うん、頼む」
「は」
気を取り直したらしいカーライル、やっぱり報告だったか。まあ、組織のトップとしてはちゃんと聞かないと駄目な話もあるしな。
それに拠点か……俺の城、というか俺たちの城が増えればそれだけ、配下多く抱えられるし。
せめてマール教に対抗するためには、それなりの拠点を抑えておかないとな。さて。
「南方城、及び西方砦に関しましては既に跡地、となっているようです。ただ、東方砦なんですが」
南と西は跡地。つまり建物が潰れてて使えなさげってことか。……今から建てるのも大変だろうし、そんな人も金もツテもないしなあ。
で、東っていうと、俺が起きたナーリアからここまでの道のりが世界の東側、だな。基準が神都サブラナなのはまあ、仕方ないか。
いろんな事があったなと思い出していたら、カーライルが言ってきたのはその中の一つだった。何か複雑な顔してるのはまあ、いろいろあったしな。
「ほら、前に盗賊……えーとアンディスでしたか、彼女が使っていた砦がありましたよね」
「まさか、あそこか?」
「一部のようです。あの奥に、もっと大きなものが地下砦として存在しているとか」
「マジかー」
俺、この世界に来てからこのセリフ何回目だ?
なにそれその偶然。というか、確かにアンディスのアジトって古い砦だったけど。
「ていうか、場所分からなかったわけ?」
「時間も経っていますし、すっかり自然に帰ってますからね」
髪を掻きながらカーライルは、資料をざっと広げてくれた。その中に、本来の砦への道順が大雑把ながら描いてあるのが分かる。あの砦を見張所みたいな形にして、その裏から地下への入り口が通じているらしい。
「それに、東方砦は確か龍王様の御領地だったかと」
「あ」
龍王様、つまりクァルード。まだ復活していない唯一の四天王がそこにいたのなら、今まで分からなかった理由はつまりそれだ。
「使ってた本人、いないのか。そりゃ分からないな」
「はい。西はネレイデシア様、南はアルタイラ様がお使いになっておりましたので、明確な場所がはっきりしておりましたから」
んで北がバングデスタ。向こうの世界にあった四神だっけ、アレに似てるけど多分別物だよな。方向と担当者が合致してないし。




