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280.かみさまはおやすみです:夕方

 ミンミカを吸ったあと、また二人して爆睡。起きたあとはまたいろんな本……何気にカーライルとかファルンとかが持ち込んでくれてるのがいっぱいあって、それを二人でのんびり読んでいた。

 この世界にはいわゆる魔術に相当するものはほとんどなくて、俺が他人の精気を吸ったりするのは特殊能力というか個性みたいな扱いらしい。グレコロンみたいに人間でも使える奴がいるわけで、確かに個性というのは当てはまってるな、と思う。さすがに精気吸うってのはレアらしいけど。

 そのかわりにファルンの杖とか、ナーリアの村でもらってきた道具みたいにコマンドを唱えれば特殊な力が使える道具がある。一応サブラナ・マールの慈悲だの何だの言われてるらしいけど、実際のところはもともとの俺が作ったものもあるらしい。作れるのか。


「かじやのひとでも、すごくすごいひとだとすごいいしでつくれる、らしいですよー」

「おお、なるほど」


 ミンミカのたどたどしい説明でもまあ、分かることは分かった。

 要はもともとそういう能力なり魔力なりが含まれた鉱石か何かがあって、高い技術を持つ鍛冶屋だったり俺みたいな神様だったりが扱うことでその手の道具を作れると、まあそういうことなんだろう。

 ……つーと、今出回ってるのって昔々に俺とかが作ったやつと、あと今だと誰なんだろうね。……ドンガタの村にいたガイザスさんとか、どうなんだろうな。




「コータ様。お食事をお持ちしました」

「おー。ありがとう」


 夕食は、カーライルが持ってきてくれた。今日はシンプルな黒の長衣……つーのかな、その上に白のフリフリエプロン。

 俺の神官としては、黒いほうが正式に近いらしい。マーダ教なんて廃れてだいぶ経ってるし、実際服装なんてどうでもいいんだけど似合うなあ、残念イケメン。もちろん、エプロン込みでな。


「先日ジランドが猪を狩ってきましたので、本日はその肉を使っております」

「ああ、血抜きしてから少し寝かせてたんだっけ」

「はい」


 ワイルドなおっさんは、そういうところでもワイルドであった。荷物運んでる途中で野宿になったりすると、近場で猟をして食料調達やら路銀の足しにするなんてこともあるんだとさ。

 で、今日の晩飯になった猪は数日前、この城に荷物を持ってきてくれる途中で以下省略、血抜き他処理をしたものを持ち込んでくれたんだよね。ちょっと置いたほうが食べやすくなるとか何とかで、今日まで置いとかれたってこと。

 ……多分腹は大丈夫だと思う。食あたりとかは……神様に食あたり、あるのかね? ま、いいか。


「あと、麓の村で甘い人参が手に入りましたのでそれを使ったサラダとグラッセ、それに煮物です。ミンミカの分は、もちろん野菜だけですが」

「にんじん、あまいの? うれしい!」

「グラッセは甘いもんだけど、もともとの人参が甘いならもっと美味しいだろうな。ありがたくいただくよ」

「はい」


 その荷物の一部に入ってたのかどうかは知らないけど、ミンミカが嬉しいんなら結構美味いんだと思う。植物しか食えない代わりに味にはうるさいからな、ミンミカ。アムレクはそうでもないんだけど。


「では、あとで下げに参ります」

「うん。皆もしっかり飯食ってな、休めるやつは俺やミンミカみたいに休んでいいんだぞ」

「はい、ありがとうございます」


 いやほんと、一番上の俺が一日のんびり休める余裕をくれたんだから、他の皆も休みやがれ。

 前の俺みたいに社畜というか、あんな生活はさすがにしんどいだろうしさ。

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