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276.可愛い神様好きですか

「貴様ら!」

「ひいっ!」

「お、お許しをっ!」

「あ、いい。大丈夫だから、バングデスタ」


 怒りかけたスティに、俺は椅子に座ったままとっさに声をかけた。いや、ほっといたら爪でがりっとやっちゃいそうだったからな。せっかく、それぞれの種族を代表して来てくれているのに、それはないだろうよ。

 振り返った虎姐さん、尻尾が膨らんでるのは見えてたけど、うがーと牙をむき出しにしてるのはちょっと怖い。そりゃ豚さんは愚か熊さんも怯えるよ。

 でも、だめだろう。この場で彼女を止められるのは俺だけだから、ちゃんと止めないと。


「しかしですね!」

「可愛いって言っただけじゃねえか。何、お前俺が不細工って言われたほうがいい?」

「それはありません!」

「だろ? だったら落ち着け。言われた俺が落ち着いてるんだからさ」

「………………失礼いたしました」


 うん、何とか説得成功。尻尾も元の太さに戻った。

 今の俺って一応外見ロリっ子だし、可愛いと言われて怒るのも問題だろ。そこはスティだって分かってくれてるし、正直この容姿は結構アドバンテージ高いよな。

 ただ、野郎相手だとめちゃくちゃ怖いのは既に経験済みだから、誰か一緒にいてくれないと困るのは……ま、神様だしいいか。

 さて、スティの迫力でビビってしまってる二人をフォローしないと。大きな椅子の上で胸を張って、声もそれなりに張り上げる。この室内で一番偉いのが俺である、そういう態度を取らないと。


「ええと、ズライドンにボイドール、だったな。わざわざ来てくれてありがとう、俺がアルニムア・マーダだ」


 うん、改めて聞くけど俺、声も可愛いな。とはいえ、これに関してはスティのほうが可愛いと思うんだけど……自分の声って自分で聞くのと人が聞くのとでは違って聞こえるから、実際のところどうなんだろうね?


「もっともこんな姿だし、外で実名を名乗るのは面倒が起きるだけだから今はコータ、という名前を使っている。お前たちも、その名前で呼んでほしい」

「は、はいっ!」

「貴方様がそうおっしゃるのであれば、我らに否やはございません!」


 一応、名前については二人とも土下座してOKの返事をくれた。

 ていうか、熊獣人も豚獣人も結構いいな。熊はしっかりとした筋肉質で頼りになりそうだし、豚はふっくらした気のいい近所のおじさんって感じで。

 そんな事を考えている俺に、ズライドンが恐る恐るこちらを見た。


「そ、それと、不敬な発言をお許しください!」

「あまりに愛らしいお姿でしたので、そのっ……申し訳ございませんでした!」


 ボイドールも上目遣いに俺の表情を伺って、それから二人してまた頭を下げた。まあ、顔見た瞬間可愛いって、一応不敬か。

 とはいえ、俺が可愛いのは事実である以上問題ない。ので、許す。発言内容も可愛いものだったし。


「うんまあ、そこは気にしなくていい。要するに褒められたんだし……ありがとうな、可愛いって言ってくれて」

『ありがとうございます!』

「まあ、確かにコータ様がお可愛らしいのは俺も全力で認めるが」


 あ、スティも認めるのかよ。お前、それであの二人怒るのおかしいぞ。

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