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273.時代が違うと違うよね

 小さな身体のチュリシスや自称犬、のゾミルなどなど、一気に賑やかになった北方城。

 そこでの最大の問題は、チュリシスがチェックしてくれたここだった。


「古い時代の砦ですから仕方ないですけど、特に下水処理がダメダメですねー」

「おおうっ」


 下水処理。つまりは使った後の水とかトイレから出たいろんなアレとか残飯……もまざっちゃうんだよな、こういう世界だと。

 俺の知ってる前の世界よりももともと技術が後退してるのは仕方ないんだけど、ネズミ少女の指摘はもっと辛辣なもので。


「そもそも、処理してないです。出したら出しっぱ、流したら流しっぱでこのまま使うとこの下流とか、大変かぐわしいことになりかねませーん」

「あーあーあー」

「出しっぱなしの流しっぱなし、ですか」


 これにはファルン始め、俺の配下たちも渋い顔である。

 何しろ『下水処理』という言葉がある以上、要するにそういうことはしてる世界なんだよな。その設備がどうやらこの古い城にはないらしく、チュリシスがそこんとこを今びしばし指摘してくれたわけだ。

 というか。


「スティ。昔はどうしてたんだ、汚れた水とかトイレとか」

「基本は垂れ流しでしたね……女の月の日とかは、こまめに湯浴みをするようにはしていましたが」

「あー」


 いかん、聞くまでもなかった。設備ない以上、それしかないじゃねえかと自分の中でツッコミを入れておく。

 あと、女の月の日ってアレか……そういえば俺にはその兆しはないけど、神様だからなのかロリボディだからなのかどっちだろうな。

 誰かに聞けば、と思ったんだがそんなこと知ってるやつ、いそうにないなあ。カーライルが持ってそうな記録にもそんなこと、書いてないだろうし。

 ま、そのうち考えればいいか。それより今は、大事なことがある。

 快適なトイレライフ。この世界だとせいぜい都会で水流せる程度で、基本は汲み取り。うっかりするとおまるだし。いい加減慣れたけど、せっかくなら綺麗な方が良いに決まっている。


「下水処理って、今はどうやってるんだ?」

「一箇所に溜め込んで、肥料にしてますー。特にこの辺とかですと、人間や獣人の肥料は重宝されるんですよー」


 チュリシスに聞いてみると、あっさり答えてくれた。ま、化学肥料なんてないだろうし、当然そうなるよなあ。


「肥料か。確かに、畑とかには重要だもんな」

「あと、森もです。主に余った分ですが、森に撒いて木々の栄養にしてもらうんですよ」

「建物とか家具とか薪とか、使うからなあ。そのお返し、ってとこか?」

「はいです」


 そっか。森にも必要……なのかどうかはさておいて、ともかくそういう習慣というかあるんだな。それなら、そうできるように設備を整えなくちゃならない。


「分かった。ファルンやカーライルと相談しながら計画の方を頼むよ、チュリシス」

「チューにおまかせくださいです!」


 小ネズミの女の子は、どんと小さな胸を叩いて大きく頷いてくれた。ファルンには資金関係から、カーライルには事務とかそっちらへんからの助言が期待できるから、チュリシスもきっと仕事がやりやすいだろう、と思う。

 しっかし、もと社畜がある意味社長的な地位にいるのって、なんだか変な話だな。神様だけど、さ。

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